投資妙味が大きそうなVR関連・有機EL関連銘柄は?

図1:ソニー(6758)・日足
図1:ソニー(6758)・日足

表1に掲載されたVR関連、有機EL関連の銘柄の中から、

(1)今期・来期ともに営業増益が見込まれること
(2)過去1ヵ月の株価上昇率が10%未満にとどまること

の2条件を満たし、「日本株投資戦略」で投資妙味が大きいと考えた銘柄のチャートを図1から図6でご紹介しています。ここでは、表1の「システム・ソフトウェア他」、「有機EL関連」、「ゲームソフト」の3分野について、考え方を説明し、これらの中から投資妙味の大きいとみられる銘柄について触れてみたいと思います。

図2:CRI・ミドルウェア(3698)・日足
図2:CRI・ミドルウェア(3698)・日足

まず「PS VR」を発売したソニー <6758>については、この市場で当面は優位を形成できる可能性が大きそうです。ただ、長期的にはスマホ市場への対応や、音楽・映画等の取り込みによる既存ビジネス活性化が課題になりそうです。業績面では今期の営業利益が微増益の会社計画であり、踊り場的な局面となっており、一応の注意は必要です。

ソニー以外の「システム・ソフトウェア他」の銘柄については、アナリストの調査が進んでいる企業が少なく、株式市場での流動性が乏しい銘柄が多いため、短期的な株価変動に要注意です。ただ、CRI・ミドルウェア <(3698> やサイバネットシステム <4312>は四半期決算の動向からも、好業績が予想でき、
比較的買い安心感が大きいとみられます。

図3:サイバネットシステム(4312)・日足
図3:サイバネットシステム(4312)・日足

このうち、CRI・ミドルウェア <3698>は2016/9期に19.9%の営業増益を見込む中、第3四半期までは前期比37.5%増益と好調です。サイバネットシステム <4312> はすでに上半期で営業利益9億円余りを確保しながら、2017/3通期の予想営業利益(会社側)も9.5億と保守的な印象で、アナリストは13億円以上の営業利益を見込んでいます。

「有機EL関連」で取り上げた平田機工 <6258> は自動車、半導体、家電分野向けに生産設備を提供する企業で、有機ELについては「真空チャンバー」で知られています。2017/3期の第1四半期は売上高145億円(前年同期比21%増)、営業利益15億円超(同71%増)の増収・増益で、通期予想営業利益を35億円(前期比19.7%増)とする中、好調なスタート
となっています。有機EL市場の拡大はすでに
現実的な追い風で、半導体分野が急拡大
となっています。

図4:平田機工(6258)・日足
図4:平田機工(6258)・日足

なお、この分野では出光興産 <5019> も関連企業として取り扱うことが可能です。昭和シェルとの合併が延期になるなどの不透明要因があり、表には掲載しませんでしたが、原油価格が一時に比べて上昇しているので、業績面での不安は後退しています。投資チャンスもありそうです。

「ゲームソフト」分野は、「PS VR」向けに、あるいはVR市場向けにコンテンツを提供している企業を取り上げています。このうち、カプコン <9697> については、第1四半期の営業損益が赤字に終わったこともあり、チャート掲載銘柄とはしませんでした。しかし、人気の「バイオハザード」シリーズで「PS VR」向け
に対応していますので、投資チャンスはある
とみられます。

図5:スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)・日足
図5:スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)・日足

VR向けはやはり、映像技術が大きなポイントになるとみられ、高機能ゲーム機にソフトを提供してきたスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> やバンダイナムコホールディングス <7832> にとっては、大きなチャンスになると考えられます。

なお、コロプラ <3668> は最大5,000万ドル規模の「VRファンド」を設立・投資していますので、この市場の拡大から受ける恩恵が「別の意味で」大きくなる可能性があります。また、投資にとどまらず、VR市場の動向全般について、知見を得ることが可能になるという「隠れたメリット」も大きいとみられます。ただ、足元の収益がやや踊り場局面なので、そのことが足を引っ張る可能性もありそうです。

図6:バンダイナムコホールディングス(7832)・日足
図6:バンダイナムコホールディングス(7832)・日足

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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