藤川太,資産形成,お金の使いどころ
(写真=The 21 online/藤川 太(生活デザイン代表取締役))

家計診断のプロが考える「使っていいお金」の基準

将来のために今どのようにお金を使い、貯めて、増やせばよいのか――それがわからず、漠然と「将来が不安」という人は多い。

2万世帯以上の家計を診断してきた行列のできる人気FP・藤川太氏が考える、「使っていいお金・やっておくべき投資」と「使ってはいけないお金・やってはいけない投資」とは?

何より大事なのは「固定費を増やさないこと」

1990年のバブル崩壊以降、アジア通貨危機、エンロン・ワールドコムショック、リーマンショックと、数年おきに大きな経済ショックが繰り返されてきました。そう考えると、すでにリーマンショックから8年が経過した今、いつ同様の危機が来てもおかしくありません。

リーマン級のショックに再び見舞われれば、今後もサラリーマンの雇用や所得は不安定な状況が続きます。となれば、最も心がけるべきは「固定費」を増やさないこと。固定費とは、住宅費や光熱費、教育費や保険料などの毎月出て行くお金です。

住宅ローンを組んでいる人は、金利が下がった今こそ、借り換えの検討を。支払い総額が安くなる可能性は高いはずです。

住宅購入を検討中の人は、身の丈に合った割安価格で購入するのであれば、むしろ賃貸に住み続けるより固定費は下がる場合もあります。地方や郊外の住宅価格は値上がりしていないので、「都心」「新築」などのこだわりを捨てれば、首都圏でも2,000万円台の物件が見つかります。反対に、都心の新築物件は価格が上がっているので、今は購入を見送るべきでしょう。

子供の教育費は、予算の枠を決めること。塾や習いごとに際限なくお金をかけるのはやめて、「この金額内で、親としてできるだけのことをやればいい」と発想を切り替えましょう。

子供と話し合うことも大事です。我が家の家計について説明し、本人に優先順位をつけさせるのです。あるご家庭の例ですが、娘が「音楽を勉強したい」と言い出しました。しかし、学費の高い私立校に通っていたので、「学費と音楽レッスン代の両方は払えない」と説明しました。その結果、娘は「高校から公立に通う代わりに、音楽のレッスンを受けたい」と決めたのです。

ある程度の年齢になれば「親が何をやらせたいか」ではなく、「子供が何をやりたいか」。それを踏まえて、教育費の使い方を考えるべきです。