自動車保険,等級
(写真=Thinkstock/Getty Images)

自動車保険にはノンフリート契約とフリート契約とがあり、それぞれ異なる割引体制を持っている。10台未満の契約はノンフリート契約、10台以上の契約ならばフリート契約となるため、個人が自動車保険を契約する際は通常ノンフリート契約によるものになるだろう。本記事ではこのノンフリート契約における等級制度について、一から解説していきたい。


自動車保険における等級とは

等級とは、前述の通り自動車保険の中でもノンフリート契約に採用されている割引体制である。保険加入時や更新時に、一定期間における事故歴を評価することで段階を設け、それに応じて翌年度以降の保険料を割引・割増する制度だ。

この段階は20段階に区分されており、下を1等級、上を20等級として、保険加入より1年の間保険金支払いを伴う事故がなければ次年度に等級が1つ上がる、といったシステムだ。

自動車保険を初めて契約する際は6等級、あるいは契約状況によっては7等級からスタートすることになる。上昇した等級は、他社への保険乗り換えなどでも維持したまま保険契約を結ぶことが可能だ。逆に下がった等級も維持されたまま評価されるので、著しく低い等級では自動車保険の加入そのものを断られるケースも存在する。例えばソニー損保は、3等級未満の人間の新規契約を拒否すると明言している。

シンプルに捉えるならば、事故が多いほど保険料は割増になり、事故が少ないほど保険料が割引になる、というだけの制度だが、これを正しく評価するためにいささか複雑な割引率を用いている。

等級制度と割引率の関係

等級が高ければ(数字が大きければ)保険料が割引され、等級が低ければ(数字が小さければ)保険料が割増されるが、そこには一定の増減幅などが定められていない。具体的には、以下の表(2012改正)の通りだ。

等級 保険料割引率(%)
20 -63
19 -61
18 -59
17 -57
16 -55
15 -52
14 -50
13 -47
12 -44
11 -40
10 -37
9 -33
8 -28
7 -23
6 -17
5 -10
4 +1
3 +10
2 +26
1 +52

等級により大きな差があることがわかるだろう。基準の年間保険料を仮に10万円として比較すると、その差はよりはっきりとする。

20等級 10万円×37% = 3万7000円

1等級 10万円×152% = 15万2000円

このように、1等級の場合に支払う保険料は20等級のおよそ4倍強にもなる。しかしこれはあまりに極端な例であるから、より現実的な例も挙げておこう。新規加入時の等級を6等級、以後3年に渡り事故がなかった場合の推移だ。

6等級     10万円×83% = 8万3000円

7等級     10万円×77% = 7万7000円

8等級     10万円×72% = 7万5000円

9等級     10万円×67% = 6万7000円

6等級でスタートした保険料が、3年後には1万6000円も割引かれることとなる。この計算には年齢や自動車の購入年度、契約状況などといった情報を一切加味していないため単純になっているが、実際の保険料が示した通りに推移するとは限らない。特に年齢は大きな要素で、加入する年齢帯によっては1~2歳の差で保険料は大きく変動する。あくまでも参考に留めておいてほしい。

事故を起こしたら保険はどうなるのか

さて、無事故によって等級が下がり、結果的に保険料が割引かれることは理解していただけたかと思うが、事故を起こした場合はどうなるのか解説していこう。ある意味、等級制度が複雑化しているのはこの「事故の扱い」によるところが大きい。

一口に事故といってもさまざまだが、等級制度における事故はいくつかの種類に分けられている。3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故の3つだ。

3等級ダウン事故は、いわば一般的な事故のことである。対人、対物、あらゆる事故がこれに含まれ、より分かりやすく言うならば後述する1等級ダウン事故やノーカウント事故に含まれない形の事故がすべてこれに当たる。

1等級ダウン事故は、車両盗難、災害、いたずらによる破損等によって保険金が支払われたものを指す。被害を受けた側の感覚としては事故と呼ぶことをためらうようなケースばかりだが、等級制度においてはこれも等級が下がる要素として数えられている。

ノーカウント事故は、主契約以外の保険金(特約)のみが支払われたケースを指す。対人、対物などによる賠償金が発生せず、あるいは原付バイクによって事故を起こしファミリーバイク特約を使った場合などがこれに当たる。

ノーカウント事故については、ほかに等級が下がる事故がなければ無事故と同様に翌年度1等級上がるが、等級ダウン事故があった場合、事故有係数適用期間という割増期間が適用されることとなる。この期間は6年を限度に、ダウンした等級と同等の期間(3等級ダウンならば3年間、1等級ならば1年間)適用され、その間たとえ無事故であったとしても等級が上がることはない。

自動車保険を最大限活用するために

等級制度はとにかく事故を起こさないことにより割引かれる制度であるから、ささいな事故であれば保険金を請求しないという選択肢が重要になってくる。

事故に際して、どれだけ保険金が支払われるか検討すると共に、事故に伴ってダウンする等級にも気を配ることで、より自動車保険を有効活用できるのではないだろうか。