自動車保険,1日,選ぶ
(写真=PIXTA)

1日自動車保険というものをご存知だろうか。2011年に販売が発表された比較的新しい保険で、その名の通り契約期間が1日から最大7日間と短期間の保険である。実は、1日自動車保険について知ることで、普段加入している保険にも活かせる部分がある。1日自動車保険の利用を考えていた方はもちろん、現在自動車保険の見直しについて悩んでいるという方も、ぜひ参考にしていただきたい。


1日自動車保険、どのような時に使うのか

1日自動車保険は1日あたりの保険料が500円~2000円程度と、年間契約の自動車保険と比べると割高に設定されている。そもそも契約期間が最大でも7日間に設定されているため、普段使う自動車保険として考えるべきではない。ではどういったときに利用すべきか、それは「他人の車を短期間乗る場合」、あるいは「他人が自分の車を短期間使う場合」だ。

具体的には、友人・知人と車の貸し借りをする場合や、複数人で旅行など遠出をする場合。契約者以外が車両を運転することが分かっている場合はもちろん、不特定多数の人間が運転する可能性があるときにも1日自動車保険に加入しておけば気兼ねなく運転を交代することができる。

家族間で貸し借りする場合にも1日自動車保険は役立つ。通常、年間保険契約を結ぶ段階で家族内に運転する可能性があるものがいれば、それらを全て運転者限定に含めるかと思う。しかしその頻度が少なく、さらにまったくの不定期なのであれば、年間契約でケアする必要性は薄い。親子間かつ子が10代などであった場合、運転者限定に加えるか否かによって年間保険料は大きく変わる。

1日自動車保険を選択肢に加えることで、もしものためを考えて補償していた範囲を見直すことができるのだ。

1日自動車保険の補償範囲は?

1日自動車保険の最大の特長はその加入手続きの手軽さで、携帯電話などからいつでも加入手続きすることができる。非常に便利なのだが、その補償範囲までお手軽なものではいざというときに頼りない。補償範囲は販売商品や契約内容によって当然変わるのが、以下におおむね共通する補償内容を示す。

まず自動車保険における基本補償とも呼ぶべき対物・対人賠償については、1日自動車保険ではすべて無制限の補償となっている。また、金額の差はあるものの搭乗者傷害特約が共通して付帯するため、最低限の補償は十分に確保されているといって良いだろう。

ロードサービスを始めとした実際の事故時対応もケアしており、年間契約している自動車保険の補償内容次第ではこのあたりを目的に加入を検討しても良いかもしれない。

そのほか、車両保険についても全社全商品が共通して補償プランを設けているものの、付帯する場合は相応に保険料がプラスされる。具体的な金額は、車両保険なしのプランで500円/日、車両保険ありのプランで1500円~/日だ。

1日自動車保険の選びかた

1日自動車保険は2016年11月現在、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の3社から販売されており、基本的な補償内容は似通うものの各社特徴がある。

まず大きな違いは、保険期間だ。東京海上日動の「ちょいのり保険」は保険期間が1日だが、三井住友海上の「1DAY保険」、あいおいニッセイ同和損保の「ワンデーサポーター」はいずれも保険期間を24時間としている。

当日のみか、翌日まで期間が続くかの違い。これは旅行に際して1日自動車保険を利用する場合などに差が顕著だ。日帰りならばちょいのり保険で十分だが、泊まりならば1DAY保険やワンデーサポーターの方が安心できるだろう。

この保険期間の差は、販売開始時期が関わっている。ちょいのり保険は2012年1月に販売を開始しており、長らく1日自動車保険のスタンダードだった。後続となる1DAY保険やワンデーサポーターが登場するまで、1日自動車保険は東京海上日動の独占状態だったのである。当然後を追う形の二社は既存商品を改善し、その結果生まれたのが24時間という保険期間だ。

では改善がなされた二社を選ぶべきかと言うと、一概にそうとも言い切れない。これは個人の価値観にもよるが、やはり積み重ねた実績というのは大きく、いざというときの事故対応などを考えるとちょいのり保険が先を行くだろう。

保険期間の違いについても、つまるところ差が生じるのは1日分契約が増えるか否かであり、最低限の契約によって加入した場合保険料の差はたった500円だ。これだけを持ってして判断するのはいささか短慮だ。

加入手続きのしやすさで選ぶ

選ぶことが難しければ、単純に身近なものや簡単なものを選ぶというのも悪くない。ちょいのり保険はローソンで、1DAY保険はセブンイレブンでそれぞれ店頭手続きを受けつけているのだが、両者は手続き方法に若干差がある。

より簡易なのはセブンイレブンで、完全に店頭手続きだけで保険加入を済ませることができる。前述の通り各保険はいずれも最低限の補償を押さえており、元より短期間の契約であるため影響も比較的少ない。1日自動車保険においては、手軽さもまたひとつの指標となり得るだろう。