マイナンバーカードを紛失したら、すぐに利用停止の手続きをしなくてはいけない。もしマイナンバーを他人に使われて個人情報が流出したら、住民票を発行されてしまうなどして犯罪に悪用される可能性が高いからだ。
マイナンバーは、将来的に銀行口座の紐付けなども検討されており、そうなれば悪用範囲はさらに広がることになる。危険な事態に陥らないようにするためにも、しっかり管理しておく必要がある。万一に備えて、紛失時の手続きや再発行の手順を確認しておこう。
目次
マイナンバーカードを紛失したらまずすべきこと
「マイナンバーカードや通知カードを紛失してしまった!」――もしそうなったら、どこに連絡すればいいのだろうか。また、再発行してもらうことはできるのだろうか。
その答えは、「紛失したらまず下記のいずれかに連絡」だ。いずれも、地方公共団体情報システム機構に設置されている。電話して、マイナンバーカードや通知カードを紛失したことを伝え、一時利用停止の申請を行う。
個人番号カードコールセンター:0570-783-578(全国共通ナビダイヤル)
マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178(フリーダイヤル)
いずれも、問い合わせの受付時間は、平日9:30~20:00/土日祝日9:30~17:30(年末年始の12月29日から1月3日を除く)。ただし、通知カード・マイナンバーカードの紛失や盗難に伴う一時利用停止については、その連絡を24時間・365日受け付けている。続いて、最寄りの警察と住民票のある市区町村に紛失を届け出て、再交付の手続きをしよう。
この手順は、マイナンバーカード・通知カードのいずれも同じだ。個人情報が記載された重要なカードなので、なくしたとわかったらすぐに利用停止するのが大切である。
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マイナンバーカード再発行のために準備するもの
マイナンバーカード・通知カード紛失の連絡が済んだら、再発行に必要なものを準備しよう。必要なものはそれほど多くない。再発行の際に手数料がかかるのは仕方のないところだ。
- 身分証明書(運転免許証・パスポートなど)
- 再発行手数料(500円程度。詳しくは各自治体に確認のこと)
- 印鑑
- 警察に届け出た際の受理番号(紛失を証明する)
マイナンバーカード再発行の手続き
準備した一式を持参して住民票がある自治体の窓口に出向き、マイナンバーカード・通知カードをなくしたことを伝える。身分証明書を提示し、マイナンバー通知カード紛失届と再発行申請書に記入・押印して提出しよう。
書類が受理されると、およそ1カ月ほどで新しいカードを再発行してもらうことができることが多い。残念ながら即日発行とはいかない。再発行されたカードは、自治体の窓口で受け取る方法と、郵送で受け取る方法の2種類がある。詳しくは窓口で確認しよう。
マイナンバーカードの番号は変わるのか
マイナンバーを紛失して再発行を受けた場合、マイナンバーの番号自体は変わるのだろうか。基本的に番号は変わることはないというのがその答えだ。つまり、再発行を受ける前と同じ番号である。
例外として、マイナンバーカードや通知カードが盗まれて、誰かに悪用される危険性があるといった場合のみ、番号の変更を申請することができる。紛失した場合も不正利用の危険があるので、窓口に相談して番号の変更を申請するのがよいだろう。
すぐにマイナンバーが必要な場合
前述のとおり、マイナンバーカードや通知カードの再発行には1カ月ほどかかる。しかし、マイナンバーを会社に提出する必要が生じたり、年金を受け取るために必要になったり、なるべく早く再発行されたカード受け取りたいこともあるだろう。
そんなときは、マイナンバーを記載した住民票の写しを取得するという方法がある。住民票の写しを発行する際、マイナンバーの記載を希望することができるので、記載を希望してマイナンバー入りの住民票の写しをもらうことでマイナンバーを確認することができるのだ。時間がかかるのはカードをもらうまでのこと。番号を変更する必要がないならこの方法がおすすめだ。
マイナンバーカードを紛失したらどんな危険があるか
マイナンバーカードや通知カードを紛失したら、どんな危険性があるのだろうか。それを知るには、マイナンバーカードからどのような情報が得られるのかを確認しておかなければいけない。
マイナンバーカードに記載されている情報
マイナンバーカードには、本人の顔写真と、氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバーが記載されている。また、カードにはICチップが内蔵されているが、ここには電子申請を行うための電子証明書が記録されている。
マイナンバーに登録される情報
現在マイナンバーと紐付けられている情報は、社会保障・税・災害対策に関連するものだ。しかし今後は、銀行口座の情報などが新たに紐付けられることも検討されているなど、付加される情報は増えていくと予想されている。
悪用される危険性
これらの情報からどのような被害が考えられるのだろうか。まず、現在マイナンバーに紐付けられている情報によって、住民票の移転が行われてしまうケースが考えられる。ほかにも、印鑑登録や婚姻届なども申請されてしまうかもしれない。
今後銀行口座情報などが追加されれば、貯金を不正に引き出されてしまう恐れもある。携帯電話やクレジットカードがつくられ、本人の知らぬ間に利用される恐れもあるのだ。実際、マイナンバーの先進国であるアメリカでは、なりすまし犯罪が増加している。その犯罪事例をいくつか紹介しよう。
- 銀行口座をつくられて犯罪に利用された
- クレジットカードを勝手につくられてしまい、不正に使用された
- 高額な借金をされてしまった
- 見ず知らずの他人との結婚届を提出されてしまった
このほかにも数多くの犯罪が発生している。
マイナンバーの不正利用を防ぐための対策
このような被害に遭わないようにするにはどうすればいいのか。それは、むやみやたらと人にマイナンバーカードを渡さないことだ。もしマイナンバーの提示を求められた場合でも、表の面だけを見せるようにする。
マイナンバーカードの表面には、身分証明に使用するために必要な本人の顔写真や住所などの情報が記載されているが、裏面にはマイナンバーが表示されているのである。本人確認のためには表の情報だけを提示すればいいわけで、裏面のマイナンバーは見せる必要がない。裏面に関しては、法律で認められた場合を除き、コピーを取ったり番号をメモするのは禁止されている。
現在のところ、マイナンバーの提示を求められるのは勤務先や行政機関など、社会保障・税・災害対策に関する場合のみだ。そこで、カードの裏側には、すぐにはがせるシールなどを貼っておくとよいだろう。
また、カード自体も、必要でないときは自宅に保管しておくのが安全だ。不必要に持ち歩くことで落としてしまうリスクが高まるので、なるべく避けたい。
とはいえ、将来的にはそうも言っていられないかもしれない。マイナンバーカードに運転免許証や健康保険証の情報が含まれる可能性があるからだ。さらに、クレジットカードやキャッシュカードなどの情報が紐付けられることもあるかもしれない。
そうなれば、持ち歩くことが多くなるだろう。そうなればなおのこと、取り扱いは慎重にしなくてはいけない。いまの運転免許証やクレジットカードと同じように、あるいはそれ以上に、大切に扱うことが求められる。
マイナンバーカードによってさまざまな情報を一元管理できるメリットがある分、紛失したときの危険も非常に大きい。運転免許証などほかに身分を証明するのもがあれば、そうしたものを使うほうが安心といえる。とにかく保管を徹底管理することが求められる。