年末調整,扶養,控除
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年末調整の時期になると、勤務先から年末調整を行うための各種書類が配布される。今回はこのうち、「扶養控除等(異動)申告書」についてまとめた。

特に配偶者控除や扶養控除といった人的控除を中心に解説するので、年末調整を行うのが初めてで良く分からないという方はもちろん、結婚等により配偶者や扶養親族が増えたという方に参考にしていただければ幸いだ。


年末調整でもらう扶養控除等(異動)申告書とは

正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と言い、この申告書の提出によって、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除が適用を受けることが可能である。またそれら控除とは別に、扶養控除等(異動)申告書の提出は年末調整を受けようとする者(給与所得者)の義務でもあるため、控除の適用如何に関わらず提出することを求められる。

年末調整を受けるためにはこの扶養控除等(異動)申告書を提出することが前提条件となる。しかし一定の給与所得を支払われている者が、これを提出せず年末調整を行わなかった場合には、確定申告を行わなければいけない。源泉徴収税とはそもそも確定申告に際して生じる手間を省くための制度なので、年末調整を行い正しい所得税を算出することは確定申告を行うことと同義なのである。

税負担の軽減のみを目的として語られることの多い年末調整だが、厳密には「行った方が良い」手続きではなく、「行わなければいけない」ものであることを忘れてはいけない。逆に、控除の適用に関わらず提出が義務付けられているのであれば、最大限有効活用した方が得という訳だ。

では以下に、配偶者控除、扶養控除についてそれぞれ詳細を解説する。

控除対象の配偶者を満たすポイント4つ

配偶者控除の適用を受けるための要件は、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合である。控除対象配偶者とは、次の4つの要件を満たす者を指す。国税庁のホームページに掲載されている原文では分かり辛い部分もあるため、各要件について噛み砕いて解説する。

1.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の者は該当しない)

生活を共にしているなどの実情に関わりなく、婚姻の届出が行われた配偶者のみを対象とすることを示している。

2.納税者と生計を一にしていること

「生計を一にしていること」とは、必ずしも同居していることを求めているわけではない。例えば一時的に別居している場合であっても、余暇には共に生活することが常になっている、あるいは生活費や療養費等を送金しているなどの関わりが認められれば、生計を一にする者として扱われる。

3.年間の合計所得金額が38万円以下であること

合計所得金額とは、利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、純損失、雑損失、などといったあらゆる所得について合算したものを指す。対象となる所得が給与のみの場合は、これは給与所得控除(65万円)の対象となるため、103万円以下であることが要件となる。

4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、又は白色申告者の事業専従者でないこと

納税者自身が事業主である場合にのみ関わりがある要件であるため、通常の給与所得者であれば基本的に満たしていると考えて良い。

配偶者控除額はいくら?

配偶者控除額は、一般の控除対象配偶者がいる場合には38万円、老人控除対象配偶者がいる場合には48万円の控除を受けることができる。

老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者の要件を満たした者のうち、その年末日において70歳以上の者を指す。また配偶者が障害者の場合には、配偶者控除のほか障害者控除を併せて適用することが可能である。

控除対象の扶養親族とは

扶養控除の適用を受けるための要件は、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合である。扶養親族とは、次の4つの要件を満たす者を指す。

1.配偶者以外の親族、又は養育を委託された児童(里子)や養護を委託された老人であること

2.納税者と生計を一にしていること

3.年間の合計所得金額が38万円以下であること

4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、又は白色申告者の事業専従者でないこと

2~4の要件は配偶者控除と同一であるため解説は割愛する。1で言う親族とは、6親等内の血族、及び3親等内の姻族を指す。納税者を中心として、血族は自身の直系(血縁関係)にあたるもの、姻族とは配偶者の血族をそれぞれ指している。

扶養控除額について

扶養控除額は、一般の控除対象扶養親族がいる場合には38万円、同居老親等がいる場合には58万円、同居老親等以外の老人扶養親族がいる場合には48万円、特定扶養親族がいる場合には63万円の控除を受けることができる。

同居老親等とは、老人扶養親族(70歳以上)のうち、納税者又は配偶者の直系の尊属(父母・祖父母等)で、常に同居している者を指す。また特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢が19歳以上23歳未満の者を指す。

年末調整での配偶者・扶養控除の手続き

年末調整でこれらの控除の適用を受ける際には、対象となる者の個人番号(マイナンバー)の記載が必要となる。また平成28年年末調整については個人番号運用開始後はじめての年末調整ということもあり、番号を記載するほか個人番号カードのコピーや通知カードのコピーなどといった身元確認資料の提出が求められる。

あとは扶養控除等(異動)申告書に必要事項を記入し、それら情報が認められれば問題なく控除を受けることができる。記入するときにひとつ注意すべき点は、生年月日を誤らないことである。その他情報を誤りなく記入することも当然大切なのだが、特に生年月日については控除の要件としていることもあり重要視されることが多い。

申告漏れがあった場合は再年調を依頼

年末調整後に配布される源泉徴収票を見たところ、申告したはずの控除について適用がなされていなかった場合などは、訂正事項を勤務先担当者に伝えて年末調整の再調整(再年調)を依頼しよう。また調整段階では配偶者や扶養親族がおらず、調整後に控除対象となる者が増えた場合なども、同様に再年調によって控除を受けることができる。

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