年末調整,医療費控除
(写真=Thinkstock/Getty Images)

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超える場合に適用されるもので、所得控除のひとつである。年末調整ではさまざまな所得控除について申告を行うこととなるが、医療費控除もこの対象となるのだろうか。医療費控除の申告を考えている方は参考にしてほしい。


医療費控除は年末調整では適用されない

結論から言って、医療費控除は年末調整で申告することはできない。控除の適用を受けるためには、各自確定申告をする必要がある。

そもそも年末調整とは源泉徴収税について過不足税額を調整する目的で行われるもので、給与所得者の個人的な事情については考慮していない。源泉徴収税は社会保険料や扶養人数などの情報を基に算出するが、それ以外の情報、例えば医療費や雑損、あるいは副業等による所得には関知しないのである。全14種ある所得控除のうち、雑損控除・医療費控除・寄付金控除の3種については上記の理由により年末調整では対応されず、これらの適用を受けるためには確定申告を行うほかない。

ちなみに医療費控除は冒頭でも述べた通り、一般的に年間の医療費が10万円を超える場合に適用されるものだが、医療費控除にはもうひとつ基準がある。それは、その年の総所得金額が200万円未満である場合はそのうちの5%を基準とするというもの。例えば総所得金額が150万円の場合、150万×5%=7万5000円から医療費控除を利用することができるのである。

控除できる医療費とは

医療費控除の対象となる医療費は非常に範囲が広いため、国税庁ホームページより抜粋して箇条書きで羅列する。

1.医師または歯科医師による診療又は治療の対価

2.治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価

3.病院、診療所等の各種医療施設へ収容されるための人的薬務の提供の対価

4.マッサージ指圧師、整体師、鍼灸師による施術の対価

5.保健師、看護師等による療養上の世話の対価(家政婦による病人の付き添いなども含む)

6.助産師による分娩の介助の対価

7.介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価

8.介護保険制度の下で提供された施設・居宅サービスの自己負担額

9.診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院時の部屋代や食事代、医療用器具代

上に挙げた医療費について、納税者自身のために支払ったものは当然として、それ以外にも納税者が生計を一にしている配偶者や親族のために支払った医療費についても控除の対象となる。この中で特に失念しがちなのが、通院費や送迎費といった交通費である。同時に、自家用車で通院した場合のガソリン代等はこれに含まれないという点にも注意が必要だ。

控除できない医療費とは

病院や薬局で支払った医療費のすべてが医療費控除の対象となるわけではない。医療費控除の対象となる医療費は、治療や療養を目的とするものに限られている。上記で挙げたうち、例えばインフルエンザ予防のために予防接種を受けた場合や、疲労回復や体調を整える目的で整体を利用した場合などは、控除対象として認められない。また美容目的での整形手術等も同様である。

また医療費控除には上限が設けられており、控除が適用されるのは最大で200万円。これを超える金額については適用外だ。加えて、実際に支払った医療費のうち医療保険等で給付・補填された金額についても適用外となっている。ただし、ここで差し引きされるのは給付目的となった医療費についてのみであり、過剰分をこれ以外の医療費から差し引くことはない。

医療費控除金額の計算方法

医療費控除の金額は、次の式で計算することができる。

実際に支払った医療費の合計額-保険金で補填された金額-10万円=控除額

このうち、保険で補填された金額とはあくまでも給付目的となった医療費についてのみ差し引きすることとし、また総所得金額が200万円未満の場合は10万円でなく所得の5%を差し引くこととする。式より求められた金額のうち、200万円を超えないものすべてが医療費控除の対象となる。ただし、ここで算出した額がそのまま還付されるわけではない。実際の還付金を調べるには、これに更に所得税率を乗じなければいけないので注意してほしい。

医療費控除申告に必要な書類

医療費控除を申告するには、確定申告書のほか、医療費を支払った領収書やその明細書、また給与所得があるものについては源泉徴収票の原本が必要となる。このうち明細書については必須ではないが、領収書やレシートだけでは支払先等が認識しにくい場合など、用意してあった方が確実だろう。また、領収書やレシートは原本を添付することが求められるため、そのほか助成金や補助金の申請に利用する予定があるならばその場で伝えなければいけない。郵送で申告する場合は、返信用封筒を忘れず付けるようにしよう。

控除の対象となる期間と期限

医療費控除には、対象となる期間のほか、2種類の期限がある。順に説明していこう。

1.医療費控除の対象となる医療費の期間

その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。

2.確定申告することができる期限

原則として2月16日から3月15日まで(休日等により前後する場合がある)。

3.医療費控除を申告することができる期限

申告する年から遡って5年間。

1について説明は不要かと思うが、念の為補足するならば、「その年」とは申告をする年ではなくその前年を指すということである。

次に2だが、確定申告の期限がイコール医療費控除することができる期限だと誤って認識している人が多い。これは個人事業主などの、通常確定申告が必要である人にとっての期限であり、年末調整を受けている給与所得者が医療費控除だけを申告する場合は特に期間の制限なく行うことができる。

3については例を挙げた方が分かりやすいだろう。例えば2017年3月1日に申告をしようとしたとき、基準は2017年3月1日ではなく、2016年12月31日となる。この場合、2012年1月1日まで遡って申告することができるのである。

確定申告と還付申告の違い

確定申告とは税金を確定させるために行う申告であり、還付申告とは超過した納税額を還付してもらうために行う申告である。前述した申告期限の違いはまさにこの違いから生じるもので、用いる書類も同一であるため特に混同されてしまいがちだ。確定申告と比べると還付申告はそう難しいものではないので、ぜひ挑戦してほしい。

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