年金,年金 差し押さえ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

あなたの国民年金の加入期間に空白はないだろうか。もしも、国民年金を滞納している場合は、強制的に財産が差し押さえられる可能性があることを知っておいてほしい。今回は、国民年金未納により、実際に起こりうることについて紹介する。


年金問題の現状

厚生労働省の「平成28年5月末現在 国民年金保険料の納付率」によると、2016(平成28)年4月分の納付率は、52.3%である。つまり、国民の半数近くが国民年金未納なのだ。

年金制度には「賦課方式」が採用されている。賦課方式とは、相互扶養の考えを基に、現役世代が納める保険料を今の高齢者の年金として支給するというものだ。賦課方式が採用された理由は、インフレや給与水準の低下に対応できるからである。

年金カット法案の可決

日本は、少子高齢社会であり、現役世代の負担は増すばかりである。「年金カット法案」という言葉をニュースで聞いたことがあるだろう。年金カット法案は、年金給付を抑制し、現役世代への負担を軽減するもので、年金制度維持には欠かせないというのが推進派の主張である。年金カット法案には反対意見も多いが、年金制度を維持していくためには、現行制度を変えなければいけないというのが、現実だろう。

国民年金を滞納し続けるとどうなるのか

国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満全員の加入が義務付けられている。つまり、20歳以上の成人は国民年金保険料を納める義務を負っているのだ。日本国憲法で「納税の義務」が規定されているように、国民年金も、法律によって保険料の納付が規定されている。

税金が未納の場合、財産の差し押さえが行われることは、ご存知の方が多いだろう。実は、国民年金も未納が続くと、最悪の場合、財産の差し押さえ(強制徴収)が行われる。もちろん、未納だからといって、即座に財産が差し押さえられるわけではない。

財産差し押さえまでのプロセスをみてみよう。まず、保険料を納付対象月の翌月末日までに納付しないと未納になる。すると、国から委託された民間企業から督促の電話がかかってくることがある。その電話を無視し、未納を続けると、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(最終催告状)」というものが送られてくる。保険料の納付を行わない場合には、法的手段を取るという内容だ。

最終催告状に記載されている期限内に、保険料を納めれば問題ないが、それでも納付しなかった場合には、「督促状」が届くことになる。そこに記載されている期限内に納付しない場合には、延滞金が徴収される旨が記載されている。加えて、財産の差し押さえが行われる場合があるという内容も記載されている。督促状を無視した場合には、差し押さえ予告の後、最終的に財産差し押さえまで到達するのだ。

どうしても払えない場合の対処法

しかし、経済的な余裕がなく保険料を納付するのが難しいという場合もあるだろう。そのような場合に、「保険料免除・納付猶予申請」の手続きがある。

保険料免除制度は、本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、全額・4分の3・半額・4分の1のいずれかの割合で保険料が免除される制度だ。なお、1月から6月までに申請をする場合には、前々年の所得が基準となる。

保険料納付猶予制度は、20歳から50歳までの人が、本人・配偶者の前年所得が一定以下の場合に、保険料の納付が猶予される制度だ。納付することが難しい場合には、年金事務所等に相談してみよう。なお、学生の場合には「学生納付特例制度」を利用できる。

この保険料免除・納付猶予制度には、国民年金の受給資格要件にカウントされるというメリットがある。国民年金の受給資格要件とは、25年以上の期間保険料を納めることだ。2017年8月から改正法が施行され、期間が10年に短縮されるが、その要件に1か月でも満たない場合、年金は支給されない。

保険料免除・納付猶予申請を利用すれば、その加入期間へカウントされるのである。もちろん、満額支給とはならないが、それぞれの割合に応じた金額が支給されることになる。どうしても払えない場合は、この手続きをしてほしい。

大切なのは国民年金をしっかり納めること

私たちは年金制度の過渡期に生活している。今後、年金制度がどのように維持されるのか動向に注目してほしいが、最も大切なのは年金保険料を納付することである。財産が差し押さえられる場合、連帯納付義務者であるあなたの配偶者や世帯主の財産も滞納処分の対象となることもある。各種制度を活用し、まずは、年金受給要件を満たすことを最優先に考えて行動しよう。

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