中村獅童,インタビュー,歌舞伎,あらしのよるに
(写真=プレミアムジャパン)

400年以上もの歴史を誇る歌舞伎は、時代を映した作品を生み出すことで伝統を築いてきた舞台芸術である。今を生きる役者たちがその伝統を体現することで守り伝え、常に革新のエネルギーを注ぎ続けることで進化を遂げてきたともいえる。

中村獅童さんは、その精鋭の担い手の一人。歌舞伎界で活躍する上では後ろ盾となる父親が廃業したため、自らが選んだ道は決して平坦なものではなかった。そんな彼が2002年の映画『ピンポン』で頭角を現し、その存在を強烈に印象づけたことはいうまでもない。当時、獅童さんの活躍を目にした故・十八代目中村勘三郎さんは「お前さんは歌舞伎を観たことがない人を振り向かせることができる。それはお前さんにしかできないことなんだ」という言葉を獅童さんに贈った。過去には「歌舞伎では主役級の役は無理ですよ」といわれたこともあった獅童さんだったが、この勘三郎さんの言葉に突き動かされ、強固な使命感が芽生えた。それが、さらなる高みを目指す大きな原動力となっているのである。