(写真=プレミアムジャパン)
(写真=プレミアムジャパン)

歌舞伎の新作にはさまざまな手法があるが、絵本という媒体を表現するには、歌舞伎のアナログな演出法を取り入れることが最適だと獅童さんは考えた。

「NHKの番組で朗読をすることになったのは、僕が『義経千本桜』の『四の切』で狐忠信を勤めていたのを番組のプロデューサーがご覧になって抜擢してくださったからなんです。この演目でも人間が狐を演じているわけですが、歌舞伎には動物を擬人化する演出が手法としてありますので、オオカミやヤギを表現することができるんです。例えば舞台から花道へと引っ込むときに使う“飛び六方”を“オオカミ六方”にアレンジしたり、顔も歌舞伎の化粧法である”隈取り“を動物っぽく描いてみたり。衣裳は、これまでも野田版『研辰の討たれ』など、歌舞伎の衣裳も手がけてこられたコスチューム・アーティストのひびのこづえさんが担当してくださったので、とても素敵になりました。ほかにも、台詞の代わりに、古典の義太夫狂言仕立てにした場面もあります。僕は義太夫って、現代のラップに似ていると思っています。心の叫びみたいなものを表現するのには最適ですね」

歌舞伎には風や雪などの気候を太鼓の音で表現するといった、観客の想像力や感性に訴える素晴らしい演出が存在する。『あらしのよるに』は歌舞伎の魅力を伝えるという、獅童さん自身の使命を果たす機会となることだろう。

中村獅童
(プロフィール)

1972年東京生まれ。1981年に歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』で二代目中村獅童を名乗り初舞台。祖父は昭和の名女形と謳われた三世中村時蔵、父はその三男、三喜雄。2002年、映画『ピンポン』のドラゴン役で数々の賞を受賞。以降、萬屋一門の若手として立役を中心に歌舞伎の舞台に立ちつつ、映像や歌舞伎以外の舞台でも幅広く活躍し、新たな歌舞伎ファンを増やしている。

スタッフ:
取材・文/山下シオン、撮影/宅間國博、スタイリスト/岡部俊輔(UM)、ヘアメイク/masato(marr)

衣裳:
コート:4万8000円(税抜)(theSakaki / OVERRIVER 電話:03-6434-9494)
カットソー: 3万円(税抜)、シューズ:6万8000円(税抜)(visvim / F.I.L. TOKYO 電話:03-5725-9568)

【公演情報】
歌舞伎座12月公演 「十二月大歌舞伎」
12月2日(金)~26日(月)
第一部 午前11時開演 新作歌舞伎『あらしのよるに』 出演:中村獅童 ほか

チケットホン松竹 電話:0570-000-489
チケットWeb松竹 http://www1.ticket-web-shochiku.com/
ご観劇料(税込)3000円~1万7000円

この冬、子供から大人まですべての人が楽しめる感動作 新作歌舞伎“あらしのよるに”にご期待ください!

(提供: プレミアムジャパン )

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