2016年,米国市場,振り返り,2017年
(写真=yurchello108/Shutterstock.com)

ジェットコースターのようだった2016年

2016年の米国株の取引もいよいよ30日を残すのみとなった。今年のマーケットを振り返るとともに、来年に向け投資妙味がありそうな銘柄などを考えてみたい。

2016年の米国株式市場は前年12月に行われた9年半ぶりの利上げへの不安や、原油先物価格の大幅下落を受け年初から大きく下落して始まった。年初は年4回の利上げを実施すると息巻いていたフィッシャーFRB副議長も株価の低迷や米景気がやや停滞したことを受け次第にトーンダウンしていった。

FRBの政策スタンス変更が市場の安心感を呼んだのか、1月から2月にかけて株価はボトムをつけその後は緩やかな上昇基調となった。途中英国のEU離脱決定(Brexit)などの波乱もあり、一時はマーケットが混乱した時期もあったが結果的に混乱は短期的に収束した。

その後11月に控えた大統領選への警戒感などから株価はやや頭打ちで推移していた。事前の世論調査ではクリントン候補の優勢が伝えられていたが、結果的にはトランプ氏が勝利した。

メキシコとの国境に巨大な壁を作る、イスラム教徒の入国を禁止するといった過激な発言が警戒されたトランプ氏だが、徐々に減税や財政支出の拡大といった景気刺激的な政策がフォーカスされ、株価は大幅に上昇して主要株価指数は連日のように史上最高値を更新した。

12月29日時点でダウ平均は節目の2万ドル到達目前といった状況だ。あと1営業日残しているものの、ほぼ年間リターンはプラスになったとみてよさそうだ。主要3指数の年間パフォーマンスは以下のとおりである。

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なお、その他主要国の株価を以下の表で比較してみた。主要先進国の中では米国株がトップパフォーマーだが、今年はブラジルやロシアといった資源国の株価が大幅に上昇した。原油価格が底打ちしたことがその大きな要因の1つだろう。

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2016年の米国経済振り返り、来年の展望

2016年、米国経済はどのように推移したのだろうか。全般にFEDの低金利政策に下支えされて堅調に推移したと総括して良いだろう。以下は主要な経済指標の2015年末と最新データの比較である。経済指標は概ね改善したことがわかる。ただ、物価上昇率は横ばいで加速の兆しを見せていない。

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では、来年の米国経済にはどのような見通しを持てるだろうか。トランプ氏は減税・財政支出拡大・インフラ投資の強化といった景気刺激的な公約を掲げて大統領選に勝利した。この中で最も実現性が高いとみられているが減税である。

大統領候補にトランプ氏を擁し、上院下院とも多数派となった共和党は元々「小さな政府」を志向している政党だ。財政支出の拡大やインフラ投資の強化はもしかすると議会との調整が難航し、実現不可または規模が小さくなるなどのリスクがある。

一方で減税は共和党の方針とも合致するため、実現可能性が高いとみられている。そうなれば米国のGDPの7割を占める個人消費を刺激することになり来年の米国景気に追い風となることは間違いないだろう。また、法人税減税も実現すれば、企業の純利益を増加させる効果も出るとみられる。

こうした政策効果を織り込む形で経済協力開発機構(OECD)は2017年の米国および世界経済の成長率予想を上方修正した(表参照)。OECDは「積極的な財政政策が成長率をやや引き上げる(more active use of fiscal policy will raise growth modestly)」と記している。

もちろん足元の米国や世界各国の株高はある程度こうした景気拡大を織り込んだものであろう。1月20日に正式に大統領に就任するトランプ氏がこの先どのような政策を実現できるかということが、一段の株高への鍵となる。

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