スウェーデン政府が今年3月、ブロックチェーンを利用した土地登記の実証実験に踏みきることが、ビットコイン情報サイト「Coindesk」の報道から明らかになった。

このプロジェクトは昨年6月から進められていたもので、 ブロックチェーンの採用によって登記手続上のミスを軽減すると同時に、譲渡プロセスの安全向上を図る意図がある。実験結果が実用化されれば、従来の不動産取引システムに大きな革命を起こすことになる。

譲渡資産書類のデジタル化、実験結果をもとに課題をクリア

実証実験はスウェーデン政府による国土調査機関、Swedish National Land Surveyとブロックチェーン・スタートアップ、ChromaWayが提携し、コンサルティング会社、Kairos Futureと通信事業サービス会社、Telia、Landshypotek銀行、SBAB銀行の支援のもと行われる。

実験段階でのライブデータ化は予定していないものの、ビジネス、規制、セキュリティーの観点からプラットフォームの機能性、および公共向けインターフェース、バックエンドの実用化が検証される。

譲渡資産書類のデジタル化という点で非常に興味深い試みではあるが、すでにクリアすべき問題点が挙げられていることから、実際の実用化にはそれ相当の時間を要するものと思われる。

一例を挙げると実験に利用されるLandshypotek銀行とSBAB銀行のシステムは異なるものであるため、実用化にあたっては共通のブロックチェーン・システムに変換する必要が生じる。実験段階ではChromaWay独自のシステムが用いられるが、将来的にはそうした余分な手間が改善されることが望ましい。

ヘンリー・ジェルテCEOは実験結果を参考にそうした問題解決に取り組みながら、完成版を創りあげていく意気ごみを見せている。カラードコインの技術開発で知られるChromaWayだが、2015年にはエストニアのLHV銀行ともブロックチェーン・プラットフォームの共同開発に着手するなど、企業のブロックチェーン化にも貢献している。( FinTech online編集部

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