お金持ち,マネー教育
(写真=PIXTA)

日本人は、世界のなかでも教養レベルの高い国民です。おそらく新しいもの好きで、学ぼうとする姿勢が強いからでしょう。こうした国民性から、ソニーやパナソニックなど世界に冠たる企業が生まれたことは、いうまでもありません。

倫理的な日本人に欠けているお金の教養

古くは、江戸庶民の識字率が90パーセントを超えていたというのは、有名な話です。寺子屋という、今の学習塾のような教養講座(受験勉強のためではありません)が庶民の間で広く行き渡っていたのです。そのため、長屋のおかみさんでも当たり前のように『論語』などの古典をそらんじていたといいますし、歌舞伎や浮世絵など、世界でも高く評価されている芸能・文化は、もとは庶民のものでした。これはヨーロッパの文化が宮廷文化、つまり「お上のもの」であったこととは対照的です。

もっと身近な例でいえば、世界各国の料理を、しかも、相当なクオリティで提供する店がこれほど多いのは日本くらいです。こんなところにも、日本人の好奇心の強さや、いいものを積極的に取り入れようとする姿勢が表れていますね。このように、総じて知的レベルが高く、教養もある日本人は、同時に、モラル意識の高い国民でもあるといわれます。東日本大震災では、被災者同士が秩序を保って助け合う姿が広く報じられました。ワールドカップのブラジル大会など、海外で行なわれたスポーツ大会で、試合後にゴミを集める日本人サポーターが賞賛を浴びたのも、記憶に新しいところでしょう。

外国人にも、何か相通じる美徳、美談はあるに違いありません。ですから、ことさらに「日本人は外国人より優れているんだ」といいたいわけではありませんが、現に、私たちにとってはごく当たり前なことが世界の賞賛の的となった例がある。これは誇ってもいいことでしょう。

ところが、そんな日本人に唯一、欠けているのが、お金の教養なのです。その理由はただ一つ、やはり清貧を美徳とするために「お金儲けは少なくとも美徳ではない」という考えが、無意識のうちに根づいているからです。

「お金儲けは世のため、人のためにつながる道徳」