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(写真=Gustavo Frazao/Shutterstock.com)

不動産投資は今や富裕層のみが行うものではなくなってきている。もちろん、一棟マンションの購入となれば、ある程度まとまった資金が必要であるが、区分所有マンションの一室の投資であれば一般のサラリーマンでも投資を行うことができる。

とはいえ、一括現金で購入するのは難しいという人が多いのも事実である。そこでうまく利用したいのが金融機関からの融資、いわゆる「不動産投資ローン」だ。不動産投資ローンとはどういったものなのか、利用することでどんなメリットがあるのか解説していこう。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローンとは、投資用に不動産を購入する際のローンのことである。例えば、アパートやマンションに投資する際に借りる資金が不動産投資ローンに該当する。これは住むための家を購入する際の融資「住宅ローン」とは異なる。その違いを解説していこう。

住宅ローンとの違いは、大きくいえば「審査基準」にある。住宅ローンは住宅の評価のほか、個人の信用に対して貸し付けが行われる側面が強い。そのため、毎月の給与が安定的に得られており、毎月の住宅ローンが返済できるかどうかといった視点からローン審査が行われることになる。

一方、不動産投資ローンは、不動産投資により得られる毎月の家賃収入が返済原資となる。そのため、個人の信用はもちろん評価対象となるが、毎月安定した家賃収入が得られる物件であるか、積算評価(土地の評価額と建物の評価額の合計)が高いかなどが大きな評価対象となる。

一棟マンションやアパートであれば、入居率が周辺相場と比較し高い立地の建物や、綺麗で設備の整った建物がローンを受ける際に評価を得やすいといえる。不動産投資を検討する際には不動産鑑定士や不動産会社等の専門家による「不動産デューデリジェンス(物件精査)」も活用するとよいだろう。不動産のデューデリジェンスでは、契約内容によっては、取得する物件の将来の収入を予想するほか、物件評価なども行うことがある。デューデリジェンスにより問題点やリスクも洗い出すことができ、しっかりした物件であることのお墨付きを得ることができれば、金融機関からの融資を受けることができる可能性も高まるといえる。不動産のデューデリジェンスは、不動産鑑定士事務所や不動産会社に専門部署が設置されていることがあり、個人投資家も依頼することが可能だ。

不動産投資ローンを活用するには、金融機関がどのように物件を評価するかがポイントといえる。

不動産投資とレバレッジ

不動産投資では融資を受けて投資をするケースが多いが、この主な理由として「レバレッジ」を効かすことができる点があげられる。レバレッジとは、「テコの原理」のことで、少ない資金で大きな金額を動かすことを指す。つまり、融資により、手元にある資金以上の金額を動かすことができるのである。このレバレッジを効かすことができる点が他の投資と比べた際、不動産投資の大きなメリットであり、不動産投資のハードルを下げるほか、効率的な資金運用を可能としている。

不動産投資ローンの審査ポイント3つ

当たり前のことではあるが、銀行の審査を通過しなければ不動産投資ローンを利用することはできない。どういった点が銀行の審査のポイントとなるのだろうか。ポイントは大きく分けて3つある。

● 今後の収支見通し
今後の収支見通しは、一棟アパートなどではレントロール資料(賃貸借資料一覧)やキャッシュフロー表(収入と経費と資本的支出)をもとに判断される。空室率がどの程度なのか、家賃設定に問題がないかどうかといったリスクを算定することになるため、収支見通しが甘い場合には融資承認がおりない場合がある。

● 融資期間
融資期間は年齢や建物の耐用年数によって異なってくる。一般的に、同タイプの物件であるのであれば、建築年数と投資家の年齢が若ければ若いほど融資期間は長く設定可能といえる。

● 融資金額
融資金額をいくらにするか。これは金融機関との相談となる。頭金を多く入れるほど融資承認はおりやすいといえる。ただ頭金を多く払えば払うほど、レバレッジのメリットは小さくなる。

住宅ローンと異なり、どの金融機関も不動産投資ローンを取り扱っているわけではない。また、金融機関によっては融資の不良債権化を避けるため審査基準が厳しいところもある。あくまで不動産投資ローンが受けられるかどうかは、物件と個人両方の信用にかかっているため、必ず受けられるわけではない点には留意しよう。

効果的な不動産投資を行うためには、不動産デューデリジェンスなどでリスクを低減させながら、不動産投資ローンを活用し、レバレッジ効果を発揮することが賢明だ。ぜひ不動産投資ローンの活用も検討してみてはいかがだろうか。 (提供: みんなの投資online

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