日経平均は17年の大発会に479円高となり、「大発会が強いその年は強い」というアノマリーを期待させるスタートだった。ただ、年明け後のトランプトレードによる円安トレンドが一服したこともあって、日経平均は1万9000円と1万9500円を中心とするボックス圏を抜け出せなくなった。
円安再燃でやっと3月10日に日経平均は年初来高値を更新してボックスを抜けた。3月期末は高いというアノマリーが期待出来るのだろうか。
日経平均は国内機関投資家の売りで上値を押さえられていた
NYダウは、トランプ大統領のリフレ政策を期待して、2月9日から27日まで12連騰を記録した。1987年の13連騰以来の歴史的な長期上昇記録で、3月1日には2万1169ドルの過去最高値を付けた。12日間で783ドル(3.8%)の上昇だった。
米国株がリスクオンで連日の上値追いとなる一方で、日本株の上値は重たかった。これは、国内機関投資家が売っているとの指摘が多かった。実際に日本取引所グループが発表している東証の週間投資部門別売買状況によると、国内金融法人は2月1週以降5週間連続の売り越しとなり、5週間で2982億円売り越した。年初来では3057億円売り越している。海外投資家の年初来の売り越しが3038億円。国内金融法人は、売りに転じたのではないかと言われる海外投資家と同じ程度売り越している。
地銀を代表とする国内金融法人は、16年1月の日銀のゼロ金利政策以降、利回りの高い外債投資のポジション増やしてきていた。日銀統計によると、邦銀全体の16年10月時点の外債保有残高は53.2兆円に達している。
トランプ大統領の誕生後の外債利回りが急騰(価格の急落)した。その含み損がかなり拡大しているという。外債の損を埋めるために、決算対策として日本株の益出しをしているとの見方が多い。
金融庁が、地銀の外債投資の含み損の検査を始めたとの報道があり、金融法人が決算対策で外債と日本株の合わせ売りしていたことが考えられる。
投信も大幅売り越しをつけており、12週間連続の売り越し。今年に入ってから4725億円も売り越している。一方、買っているのは自社株買いなどで事業法人の1734億円。個人の信用買いが4260億円だ。
3月10日は、日経平均の先物とオプションが両方決済日となるメジャーSQだった。模様眺め気分が強い市場で東証1部の日々の売買代金は活況の目安となる2兆円を下回ることが多くなっている。ただメジャーSQの日は、先物・オプションに絡む商いが膨らむため売買代金は2兆9483億円に達した。金融法人は、商いがこなせるメジャーSQ日に合わせて3月末の株の決算対策を終わらせることが多いと言われている。
3月高のアノマリー、3月上げ特異日が多い
3月中旬以降、決算対策の売りが一巡し、需給が改善し株価が期末に掛けて上昇することも多く「3月期末の株高」などと言われアノマリーとされている。
金融情報を提供しているQUICK提供のマーケットカレンダーで、リーマンショック以降の9年間の月間の騰落率を比較すると、3月の上げる確率は67%と高い。12月の78%についで、11月、7月と同じ確率だ。アノマリーで言われる「年末高」「期末高」はこのあたりから裏付けられているのだろう。
逆に下げることの多いのは、8月の勝率33%、1月の40%となっている。夏休みと冬休みは市場参加者が少ないためアノマリー的にも下げることが多いようだ。
月単位でなく日単位でみて、上げる確率が高い「上げの特異日」が多いのも3月の特徴だ。リーマンショック以降で、上げる確率が70%を超える日は、3月1日の83%、2日の71%、4日の75%、5日の71%、11日の88%、19日の71%、22日の75%、25日の75%と8日もある。これは他の月にくらべて明らかに多い。たとえば2月では70%を超える「上げの特異日」は2日だけ、1月は1日だけだ。今年も3月期末の株高のアノマリーが期待出来るのだろうか?(ZUU online 編集部)