一流の経営者ほど趣味の時間を大切にする
仕事のメリハリをつけたりリフレッシュしたりと、その目的はさまざまだが、一流の経営者ほど趣味をしっかり楽しんでいる。彼らがどのような趣味を持ち、それをどう仕事に活かしているのかを紹介しよう。
成功する経営者に人気の「ワイン」と「本」
多忙を極める経営者にも、仕事の合間をぬって趣味を楽しむ人は多い。
成功者に多いのがワイン好きだ。日本ソムリエ協会から名誉ソムリエの称号を授与された楽天創業者の三木谷浩史氏、自宅の地下に7,000本を収納できるワイン貯蔵庫を持つスタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏、アメリカにワイナリーを作ってしまったカプコン代表取締役会長CEOの辻本憲三氏など、本業に劣らずワインにも情熱を注ぐ経営者は枚挙に暇がない。
辻本氏は、出張先のアメリカでワインに魅了され、世界有数のワイン産地であるナパバレーにワイナリー「ケンゾー・エステイト」を建造。「ワインもゲームも最高のものを作る」という信念を貫き、今では一流のレストランのワインリストにも加えられるほどのワインになった。
愛好家の多いワインの知識があれば、ふとしたことで会話が弾み、人脈構築でも役立つだろう。
ワイン好き同様、一流の経営者には読書家も多い。マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は、両親の影響で幼少期から読書に親しみ、今も自身のブログで感銘を受けた本を定期的に紹介している。また、投資の神様と称されるウォーレン・バフェット氏は、成功の秘訣を聞かれ「とにかく読むこと。手当たり次第、読むこと」と答えている。実際、オフィスで何時間も読んで考えることが彼の日課だという。
日本の経営者に目を向けると、ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏が20代で肝臓を患ったとき、入院中に3,000冊を読破したのは有名な話。ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、師と仰ぐピーター・ドラッカーの書物から経営の真髄を学び取ってきた。
一方、マイクロソフト日本法人の元社長であり、現在は書評サイト「HONZ」代表の成毛眞氏や、ライフネット生命保険代表取締役会長の出口治明氏のように、純粋な趣味としてジャンル問わず多読する読書愛好家もいる。本の読み方は人それぞれのようだ。
会社倒産の危機で社長を救った「水泳」
多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮するには、心身ともに健康であることが重要である。そのため、健康管理とストレス発散を兼ねて運動を習慣にしている経営者は多い。
アイリスオーヤマ代表取締役社長の大山健太郎氏が続けているのは水泳だ。泳ぎ始めたのは、オイルショック後の経営難で会社倒産の危機に陥ったとき。苦しさから逃れるように向かった先がプールだった。泳ぐうちに気分が晴れ、前向きになれたことが窮地脱出のきっかけになったと明かしている。その後、同社がユーザー目線を取り入れた独自のもの作りでヒットを飛ばし続けているのは周知のとおりである。
経営者に人気なのが、トライアスロンだ。青山フラワーマーケットを運営するパーク・コーポレーション代表の井上英明氏は、経営者仲間とトライアスロンチームを結成している。日本マクドナルドホールディングスやベネッセホールディングスなどの社長を歴任した原田泳幸氏は、62歳でマラソン、64歳でトライアスロンを始めた。
トライアスロンは、練習の成果が結果に直結しやすいうえに、苦しいレースを乗り越えたときの達成感が、経営に求められる集中力や持続力にも通じる。こうした点が経営者を魅了する理由であるようだ。
参考文献:『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(猪瀬聖著/幻冬舎新書)、『大富豪のお金の教え』(パン・ヒョンチョル著/CCCメディアハウス)、『1分間バフェット』(桑原晃弥著/ソフトバンククリエイティブ)、『すごい経営者のすごい趣味』(佐藤豊美著/東洋経済新報社)他(取材・構成:前田はるみ)(『 The 21 online 』2017年2月号より)
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