帝国データバンクが発表した「2017年度の雇用動向に関する企業の意識調査」で、企業の採用意欲が高まっている現状が明らかとなった。特に正社員採用意欲の回復が顕著であり、採用予定があると回答した企業の割合は10年ぶりの水準となった。

正社員採用意欲は大企業で顕著に高まる

同調査によると、調査対象企業のうち2017年度に正社員採用予定があると回答した企業は64.3%であり、前年から1.4ポイント増となった。過去10年で最高の数字となり、リーマンショック前の2007年度の67.4%に近付いた。

中でも大企業の採用意欲は特に高い。大企業に絞ると、正社員採用予定があると回答した企業の割合は83.8%となっている。同調査を開始した2005年以降で最高となり、大企業の人手不足が顕在化したと言える。一方中小企業の同割合は59.0%となり、リーマンショック前の水準には回復していない。

大企業で正社員採用意欲が高まっている背景には従業員の年代バランスの偏りがある。リーマンショック以降、景気の不透明感が強く、正社員採用を絞る企業が多くあった。一方、各企業はバブル・団塊ジュニア世代と呼ばれる40〜50歳台の人員を多く抱える。中堅層以下の従業員が手薄になっている企業が積極的に正社員採用に乗り出している事が伺える。

大企業は偏った年代バランスの是正に向け、今後も正社員採用意欲は高い状態が続く可能性が高い。中小企業もリーマンショック前の水準に届いていないとは言え、回復基調を辿っている。雇用環境は非常に良好になりつつある事が同調査から読み取る事が出来る。

従業員の定着も課題に