開催まで残り1300日を切った東京オリンピック。

2016年8月に小池百合子氏が都知事に就任して以降、巨額にふくらんだ開催費用について検証するため「都政改革本部」に調査チームが設置され、これまで費用削減のためのさまざまな検討が行われてきました。

不透明だったオリンピックの開催費用について小池都知事が疑問を投げかけたことで、関心が高まったという方も多いかもしれません。なぜ、こんなにも巨額な開催費用が必要なのでしょうか?

総費用は“3兆円”超えの可能性!?

Olympic
(写真=PIXTA)

2016年9月に都政改革本部の調査チームは、五輪総費用について3兆円を超える可能性があると第一次調査報告書を提出しました。

この報告書によると、2013年1月の立候補ファイルでは開催費用を約7,340億円としていましたが、この金額はIOCが要求する各都市の個別状況を除いた基礎的要素のみを計上したものであり、実際には資材や人件費の高騰、大会運営のための輸送コストやセキュリティコストなど、当初計上していなかった費用が大幅に増える可能性を指摘しています。

開催費用を削減するため、水泳競技場である「オリンピックアクアティクスセンター」、バレーボール・車椅子バスケットボール競技場である「有明アリーナ」、ボート・カヌー・スプリント競技場である「海の森水上競技場」を新設するのではなく、既存施設で代用することが検討されました。

しかし、会場としての適性や費用、立地などさまざまな理由から代用はせず、やはり当初の3施設を新しく建設する方針になりました。そのかわりに、2016年12月22日に開かれた都政改革本部会議(第5回)では当初の計画より整備規模を縮小することなどによって約400億円を削減できるとしました。

3兆円にふくらむと予想しているうちの400億円を減らすことができる、というとそんなに減らせてないじゃないか…とあまりに大きな金額に感覚がマヒしてしまいそうですが、それでも都民をはじめ国民が負担しなくてはならないお金を抑制する意識を高め、少しでも減らすことができるのであれば、この計画見直しは大きな成果があったといえるでしょう。

ロンドンでも費用は予算をはるかにオーバー

2012年に開催されたロンドン五輪も、立候補ファイル上で開催費用を約7,500億円と見積もっていましたが、実際には約2.1兆円に膨れ上がりました。

ロンドンの約7,500億円という立候補時の試算も、施設設備費用が中心だったため、実際の金額が増えることは必然ではありましたが、立候補から開催までの7~8年の間に物価の上昇やテロ対策、サイバーセキュリティ対策、追加種目の費用負担などソフト面での費用がかさんだことで2兆円を超える開催費となってしまいました。(都政改革本部 オリンピック・パラリンピック調査チーム 調査報告書より)

オリンピックの拡大と膨らむ開催費

1896年にギリシャのアテネから始まったオリンピック。当時の参加国はわずか14ヵ国で、8競技43種目、選手は241人(しかも男性のみ)しかいませんでした。

しかし、直近の2016年リオデジャネイロオリンピックでは207ヵ国、28競技306種目、 選手は11,237人にものぼりました。数兆円規模の開催費がかかることが常態化しつつあるオリンピックですが、昔に比べて参加国や人数など大会の規模自体がどんどん拡大していることも事実です。

それに加えてテロやサイバーセキュリティなどより高度な対策も必要になり、世界中から1万人以上の選手(当然、選手以外にもコーチやスタッフなど多くの人が一緒に参加するでしょう)と、200を超える国の観客を迎えて、安全に大会を終えるためには膨大な費用が必要になるのも当然なのかもしれません。 (提供: お金のキャンパス

【関連記事 お金のキャンパス】
東京五輪の経済効果は?その後の落ち込みはどうなる?
転職前に気を付けておきたい税金・年金・お金の話
知っていますか? 「年金」の種類と仕組み
お金のことが学べる映画5選
2020年に向けて市場規模が急拡大 「VR」「AR」で世界はどう変わる?