今年末に閉園が決まっているテーマパーク「スペースワールド」(北九州市)の跡地活用策として、隣接する「イオンモール八幡東」を運営する流通大手イオンが、複合商業施設として再生する計画を立てていることがわかった。実現すればスペースワールドのアトラクションの一部とアウトレットモールを備えた西日本最大級の複合商業施設が誕生することになる。

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1990年オープンしたスペースワールド 昨年「氷の水族館」で批判殺到

過疎化,テーマパーク
(画像=スペースワールドWebサイトより)

スペースワールドは宇宙をテーマに1990年にオープンしたテーマパーク。オープン後しばらくは好調な客入りがあったものの、1997年をピークに入場者は減少。2004年に351億円にも及ぶ営業損失を出し、翌年には営業権が地主の新日鉄住金から現在の運営者である加森観光に移っていた。しかし昨年の12月に突如として2017年末での閉園を発表。地権者である新日鉄は新しい借り手について検討を進めていた。

スペースワールドでは昨年、「氷の水族館」氷漬けの魚の上を滑るスケートリンクが酷すぎると批判殺到していた。

スペースワールドの跡地活用に関しては、福岡県の小川洋知事と北九州市の北橋健治市長が今月7日、東京の新日鉄住金本社(東京・千代田)で佐久間総一郎副社長と都内で面会し、活用策の方向性を早期に示すように要望。

これを受けて新日鉄住金は25日に福岡県と北九州市の両者に対し、跡地活用の状況について地域活性化のコンセプトが同社と近い「イオンモール」を優先交渉先に選定して交渉中であるとの報告を行った。

地域と連携し賑わいを生む施設へ

計画では閉園後、数年かけ新施設を整備。九州では初となるアウトレットモールに加え、「食」をテーマとした食品売り場と物販を組み合わせた一大ゾーンのほか、映画館、イベントホールの併設も検討する。スペースワールドのコースターなどの設備も残し、こども向けのレジャー施設としての機能も残す見込み。世界遺産「官営八幡製鉄所旧本事務所」のほか、門司港レトロ地区などとシャトルバスで接続し、「連携して賑わいを生み出したい」としている。

スペースワールドの面積は24万平方メートル。イオン側は隣接する土地に6万7千平方メートルの「イオンモール八幡東」を運営している。開発が進めば両者の土地を、通路などで接続することが見込まれており、総面積は30万平方メートルと、九州では最大規模の商業複合施設となる。

両施設がある八幡東区の東田地区は、九州自動車道や東九州道と連結する都市高速の出入り口に隣接しており、JRの九州の駅からも近く交通の利便性は高いため、施設が完成すれば県外などの集客も見込まれる。

来月にも、新日鉄住金とイオンモール、県、市の4者間で実務者レベルの協議を始める予定で、加森観光の賃貸契約が切れる年内をめどに計画の詳細を詰め。新商業施設のオープンは数年後になる見通し。(ZUU online編集部)