財産を人にあげるという「贈与」は、税金がかかる行為です。今回は贈与税についてお伝えするとともに、ファイナンシャル・プランナー、いわゆるFPに相談できることについて解説していきます。

贈与税とはどんな税金?

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(写真=BlueBoeing/Shutterstock.com)

贈与税は、個人がもらったものについてかかる税金です。また、生命保険金を受け取ったり、債務を免除されたりすると贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があります。

贈与税は相続税よりも税率が高くなるのが特徴です。しかし、非課税のものもありますので、これらをうまく利用すると相続税よりも税金を安くすることができます。

贈与税について知っておくべきこと

贈与税について知っておくべきことは、基本的には贈与を受けた人に税金がかかるということです。他方、立場や利用方法などによって贈与税が優遇される場合があります。

まず、1年間に110万円までは贈与税が非課税になります。もしこれを超える場合でも、子どもや孫に贈与する場合は、税金が優遇されることがあります(特例税率)。例えば、550万円を贈与する場合、110万円を引いた440万円が課税対象額になります。特例税率を適用する場合(祖父から孫へなど)、ここから15%の税率を乗じた後10万円が差し引かれ、贈与税額は56万円になります。

これに対して、兄弟間や夫婦間での贈与の場合(一般税率)、課税対象額440万円に20%の税率を乗じた後25万円が差し引かれ、贈与税額は63万円になります。このように、税率において子どもや孫は優遇されています。

効果的な贈与税対策とは

効果的な贈与税対策は、非課税のものをうまく利用することです。

・ 教育資金
満30歳未満までの人を対象として、教育資金として直系尊属の援助がある場合、1,500万円まで贈与税がかからないという制度です。こちらは信託銀行など金融機関の管理を通して行う必要がありますが、きちんと教育資金に活用されるものが対象になっています。教育資金は入学金や授業料、塾などの謝礼や通学に必要な交通費などです。

・ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合(結婚資金)
20歳から49歳までの人を対象として、結婚式の費用やドレス代、新居の住居費や引越し費用などの結婚資金について、上限300万円までの贈与を非課税とするものです。こちらも直系尊属の援助であり、金融機関の管理が必要になります。

・ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合(子育て資金)
20歳から49歳までの人を対象に、妊娠・出産費用、不妊治療費や保育料などについて結婚資金とあわせて1,000万円を上限として贈与を非課税にするものです。こちらも結婚資金と同様直系尊属の援助で金融機関を通して管理する必要があります。

・ 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
夫婦の間で住むための不動産を贈与した場合、基礎控除額に加えて最高2,000万円まで非課税になります。これは20年以上婚姻期間のある配偶者に対して住むための家を贈与したり、家を購入するための資金を贈与したりする場合に非課税になるというものです。しかも、死亡から3年以内の贈与でも相続財産に含まれないものになります。

・ 相続時精算課税
相続時精算課税は、2,500万円まで贈与税が非課税となります。超えた金額について一律20%の税金がかかります。贈与者は60歳以上の直系尊属で、受贈者は20歳以上の直系卑属です。簡単に表現すると60歳以上の人が20歳を超えた子どもや孫に贈与する時に、この相続時精算課税制度を利用すると2,500万円まで非課税になります。

迷ったらFPに相談

相続税や贈与税はきちんと対策を取ることによって、低く押さえることができる場合があります。効果的な贈与税対策を適切に行うためにはどうしたらいいのか迷った場合は、FPに相談してみることをおすすめします。