私がZOZOTOWNの「ツケ払い」を知ったのは、2017年2月。大学受験を終えた娘が利用し、「支払いは4月だから」という。「(4月の支払い分は)3月にバイトすれば払える」という公算らしい。そのときは、「若者相手にずいぶん危ないシステムを作っているんだな」と思った。

3月になって、ZOZOTOWNの「ツケ払い」のテレビCMが流れ始めた。若者に人気の女優、吉岡里帆さんが「好き! 好きなんだもん! 2カ月待つなんてできないよ!」と、雨に濡れながらいうというヤツである。「これ、こんな感じで広めたらいかんでしょ」というのが、私の感想。CMを見たら、すごく「便利な」システムに見える。確かに便利なのだが、そこがコワいところだ。

ゾゾの「ツケ払い」 今お金がない人は2カ月後も払えない

ツケ払い,リボ払い
(写真=PIXTA)

ZOZOTOWNは、公式取り扱いブランド5814、最新ファッションアイテムが常時40万点以上そろっている日本最大級のファッション通販サイト(2017年5月5日現在、ZOZOTOWNのホームページの表現より抜粋)。他のファッションサイトと比べて、品ぞろえの豊富さが魅力だという。

代金の支払い方法は、代金引換(商品配達時に払う)、コンビニ決済(コンビニで支払った後に商品配送)、クレジットカード払い、クロネコ代金後払い(予約商品に限る)、LINE Pay、ZOZOTOWNギフトカード、Amazon Payでの支払いに加え、2016年11月から「ツケ払い」が始まった。「ツケ払い」自体が悪いわけではないが、「仕組みを充分に理解せずに利用する人がほとんどだろう」と思われる点で要注意なのである。

「ツケ払い」は、商品の到着後に支払えるサービスで、注文日から2カ月以内にコンビニか銀行で払えばよい。ただし、これを利用するには手数料が324円かかる。クレジットカードを持たない未成年者でも5万4000円までは使うことができ、支払いを2カ月先まで伸ばせる。一応、ホームページには「未成年の方は保護者の同意を得たうえでご利用ください」と書いてあるが、同意を得なくても買えるはずである(娘が利用していることを私が知ったのは、ハガキの請求書が届いてから)。

これのコワいところは、「今手元にお金がなくても買ってしまえる」ということである。だいたい、今手元にお金がない人は、2カ月後にもお金がない。しかし、2カ月も先なら、お金があるはずだと脳が自分に言い訳をして、ポチッと買い物してしまう。

やはり、「品物を手に入れたい」という物欲があるときに支払いをしないといけないのではないか。品物を手にして物欲を満たしたあとで、経済的な痛みを伴う支払いを積極的にするとは思えない。

支払い後に選択できる「あとからリボ」。ここでも支払いの先送りの甘い罠が!