会員制のリゾートクラブは、「個人や法人が資金を出すことでホテルやコンドミニアム、リゾートマンション、別荘などの運営会社の会員となり、施設を優遇された条件で利用できるサービス」のことです。運営側にとっても、長期滞在の顧客が多い上に繁忙期と閑散期の差が少ないというメリットがあります。昨今、復調しつつある人気の理由に迫りました。

価格の幅が広がり、身近なものに

Resort
(写真=haveseen/Shutterstock.com)

リゾート会員権は、リゾートクラブの会員制利用権を証券化したものです。かつては一部の富裕層向けのビジネスであり、ゴルフ会員権と同様に所有していることが一種のステイタスでした。バブル期には投機対象となるなど価格が高騰しましたが、バブル崩壊後は運営会社の倒産が相次ぎ、高額な会員権が紙くず同然となるなど市場環境は一転しました。しかし、2000年頃から持ち直しつつあり、最新のレジャー白書によると2015年の市場規模は3,550億円で前年対比13.1%増、この10年間で約1.6倍に増えました。

市場が拡大したのは、従来の高価格帯会員権に加えて、数十万円といった低価格で入会できるクラブが増えてきたことによります。経済的に余裕があるシニア層を中心に、若年層にも裾野が広がり始めました。

個人で別荘を所有することと比べて維持管理にかかる手間が大幅に少ないメリットに加えて、近年は会員対象のゴルフやテニスなど、共通の趣味を持つ会員が集えるイベントがあったり、ペットの同伴が許可されていてドックランスペースが設けられていたりと、プラスアルファの魅力があることも人気を支えています。

入会金だけで施設の使用権が得られる

価格のバリエーションが増えたのは、会員形態の多様化が関係しています。昭和40年代初めに会員制リゾートクラブがスタートした頃には「預託金制」が一般的でした。これは運営会社が入会を申し込んだ会員に対し、一定期間無利息で金銭を預託することを条件に、一般より低料金で優先的に施設を利用できるようにしたシステムです。

その後、50年代になって「共有制」が登場しました。これは、不動産を共有持ち分権で購入することが会員になる条件で、持ち分は不動産登記されます。このため税負担はありますが、万が一運営会社が倒産しても所有権は維持されます。

加えて入会時に入会金や登録料のみを支払い、退会時には会員資格がなくなる「入会金制」、退会時には入会金は返却されないものの、据え置き期間が終了した預託金部分は、退会するときに無利息で返還される「入会金+預託金制」、これらに「償却保証金」が加えられたシステムが登場し、リゾート会員権は一気に手が届きやすいものになりました。

ちなみに償却保証金は、不動産の保有負担や将来にわたる減価償却、修繕、メンテナンス費用負担等を保証金として会員に拠出してもらい、一定の期間一定の率により保証金から減額、償却していくという意味合いのものになります。税務上は資産計上しなければいけない点には注意が必要です。

わかりやすい「ポイント制」、共同利用可能な「チケット制」も

会員形態だけでなく、利用方法が多様化して使いやすさがアップしたことも市場の拡大に一役買っています。従来からある記名式のメンバーズカードが配布される「記名カード制」に加えて、一室を複数の会員が共同所有する「タイムシェア制」、購入したポイントを使用する「ポイント制」、配布されたチケットで利用する「チケット制」などが代表的な方法です。チケット制は基本的に会員以外でも利用できるため、知人と共同で利用しているケースも少なくないようです。

身近になってきたとはいえ、リゾート会員権は決して安い買い物ではありません。予約の取りやすさはどうか、運営会社の経営は安定しているか、わかりやすい利用システムかなどは、事前によく確認しておくことが必要です。シニアの方であれば、医療施設との連携があるか、施設はバリアフリーか、最寄り駅までクラブバスは出ているかなどもチェックしておきたい項目です。

長く付き合っていくことを前提に、納得できる施設選びをしていきましょう。(提供: IFAオンライン

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