株式市場には「5月には株が売られる(Sell in May)」という有名な格言がある。これは5月は株が下げやすい(売られやすい)ので、株を保有している投資家は警戒すべきという一種の戒めとなっている。日本の市場関係者の間でも5月を控えると一時的に緊張感が高まることで有名だが、果たして今年の5月は株が売られるのだろうか。

ちなみになぜ5月に株が売られるという話が定着したのかについては特に明確な理由はなく、長い市場の歴史の中で作られた一種のアノマリー(株の値動きの傾向)だと考えられている。

過去の5月の傾向を振り返ると同時に、今年はセルインメイが生じるかどうかを考えていこう。

過去の5月は上がった? 下がった?

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(写真=PIXTA)

2017年5月に格言通りの売りが入るかどうか気になるところだが、過去の5月はどうだったのか確認してみよう。

5月開始日の始値から5月最終日の終値までで日経平均株価が上昇したか下落したかで結果を見てみる。以下が過去16年分の結果だ。

【年次/上昇・下落の別/始値/終値】
2001年 下落 14096.32 13262.14
2002年 上昇 11540.09 11763.70
2003年 上昇 7804.03 8424.51
2004年 下落 11777.44 11236.37
2005年 上昇 10954.21 11276.59
2006年 下落 16929.83 15467.33
2007年 上昇 17396.30 17875.75
2008年 上昇 13802.59 14338.54
2009年 上昇 8848.84 9522.50
2010年 下落 10847.90 9786.70
2011年 下落 9964.39 9693.73
2012年 下落 9471.66 8542.73
2013年 下落 13837.72 13774.54
2014年 上昇 14341.09 14632.38
2015年 上昇 19510.85 20563.15
2016年 上昇 16357.10 17234.98

(数値は楽天証券マーケットスピードより取得)

以上過去16年分の5月の成績は、上昇が9回、下落が7回となっている。

直近だと2013年5月に起きた日経平均株価の暴落が記憶に新しいが、5月のみの騰落幅をみると24円ほどしか安くなっていない。つまりその時の暴落は、5月の大幅上昇を消す反動としての下げだったと言える。

ちなみにアメリカを代表するニューヨークダウ30種平均の毎年の5月の上昇下落も過去16年間を遡っていると9上昇、7下落と日経平均株価と同じ結果であった。

こうしてみると「Sell in May」は本当にあるのか? という話になる。5月だけ抜き出してみるとむしろ相場は上昇しているときのほうが多いのだ。

2013年の時のようなインパクトのある暴落があるとどうしてもセルインメイと結びつけてしまいがちだが、実際には5月にはそれほど売りはないといえそうだ。

では、今年の5月はどうなるだろうか?