2週間前、4月の製造業PMIが前月を0.6ポイント下回り、景気見通しが鈍化していることを伝えた。10日に発表された4月の月次統計でも、景気の鈍化傾向がはっきりと見て取れる。
鉱工業生産は6.5%増で、3月と比べ1.1ポイント悪化、市場コンセンサスを0.5ポイント下振れした。固定資産投資(累計)は8.9%増で、3月累計と比べ0.3ポイント悪化、市場コンセンサスを0.2ポイント下振れした。小売売上高は10.7%増で3月と比べ0.2ポイント悪化、市場コンセンサスを0.1ポイント下回った。輸出(人民元ベース)は14.3%増で、3月と比べ8.0ポイント悪化、市場コンセンサスを2.5ポイント下振れした。
3月までの好調とは状況が一変しているが、日本では中国経済の下振れリスクを警戒する声が高まっている。住宅バブル、理財商品バブルが自発的に弾けているのであれば、長期停滞の可能性を意識しなければならない。景気がなぜ減速するのかについて正しく認識することが、この問題を考える上で重要なポイントである。
その点に関して先週、2つほど気になるポイントがあった。
中国証券監督管理機関は株価急騰を抑えたい
一つは証券市場に関するものである。複数の報道機関は9日、「中国証券監督管理機関は両取引所を通じて、証券会社に対して、一帯一路サミット期間中、顧客の取引行動をしっかりと管理するよう要求した」と伝えた。ある証券会社が子会社、営業部に伝えたとみられる文章も記載されていた。その内容は以下の通り。
両取引所の関連部門から通知・要求があり、“一帯一路”サミット会議に際して、敏感な時期となる5月8日から5月16日の期間について、各支店は業務の監督管理を高度に重視し、積極的に協力し合い、顧客の取引行動管理業務をしっかりと行うよう求める。
(1)各部門は管理する顧客の内、活発に取引する顧客、資金量の大きな顧客、重点監視名簿に記載されている顧客について、その取引状況を通知、伝達する。穏やかな取引をするよう呼びかけ、市場に対してショックを小さくする。
(2)株価ボラティリティの比較的大きな銘柄は既に両取引所によって重点的に監視されている。こうした重点管理銘柄における出来高、価格に比較的大きな影響を与える操作行為は、両取引所によって重点的に監視され、監督措置が取られる。各支店は顧客に対して、敏感な監視の中に置かれており、異常な取引行為を行わないように呼び掛ける。(9日、網易などから要約)
見た通りである。証監会は株価を支えたいのではなく、株価の急騰を押さえたいのである。4月の清明節休場直前に発表された雄安新区建設決定の報道により、関連銘柄が暴騰した。それを抑えるために証監会は2日間、関連銘柄の取引を停止させている。今回は、そういうことが起きないように先回りして投機を予防したのである。