私はリーマン・ショックで資産を60万円まで減らしながら、最終的に資産を3億円まで増やしました。それだけ聞くと、途方もない道のりを進んできたか、あるいはとんでもない博打に勝ったかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
(本記事は、堀哲也氏著『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』日本実業出版社(2016/12/27)の中から一部を抜粋・編集しています)
60万円を「9回倍増」させれば3億円
というのも、投資の世界では、60万円を120万円にするのも、1億円を2億円にするのも、手間とかかる時間はおおむね同じです。どちらも投資額を2倍にするだけです。こう考えると60万円を3億円にしたとしても500倍。資産2倍を9回達成すればよいことになります。
ですので、60万円を2倍にする投資を3回達成して500万円くらいまで増えれば目標の3分の1達成。4000万円くらいまで増えて3分の2達成といえます。60万円を120万円にするのは、そんなに難しくないような気がしませんか?
実際は、結構難しいのですが、これができればあとは同じことを9回するだけで3億円になるわけです。
必要条件は、得た利益をすべて再投資することだけです。このように利益をすべて再投資して複利の力を利用するのは、大きな資産を作るための絶対条件ですが、逆に言うと、それさえきっちりできれば、あとは資産2倍を何回達成するかだけの問題になります。
資産をいくらまで増やしたいか?
それでは、質問です。
あなたは何年で、資産をいくらまで増やしたいですか。
私の場合は目標ではなくて結果ですが、7年で60万円を3億円にすることができました。7年は無理でも、多少余裕をみて9年ならどうでしょうか。
9年であれば、元の60万円を1年間かけて2倍にし続けるだけで達成できます。本書に示すようなリスクの高い投資をすれば、1年で2倍という数値は決して難しい目標ではありません。
具体的に自分の目標額を考えてみましょう。
資産を何倍に増やしたいのですか?
私の実績では3億÷60万=500倍ですが、いまの自分の資産と目標とする資産額を決め、何倍にすれば目標が達成できるかを計算しましょう。100倍でも1000倍でも構いません。その数値を「目標資産倍数」として覚えておきます。
次に、何年で目標となる資産を得たいのかを決めます。その年数を「目標年数」とします。この2つの数値から、1年で資産を何倍にすれば達成できるかを計算してください。
1年の目標倍率は、エクセルで「=SERIESSUM(目標資産倍数,1/目標年数,1,1)」と入力すれば計算できます。
ここで出てきた数値が1年で資産を何倍に増やせばいいかの目標数値となります。私の実績で計算するとSERIESSUM(500,1/7,1,1)=約2.43倍となりました。この数値が3倍を超えるようだと目標年数を考え直したほうがいいかもしれませんが、2〜3倍以内であれば十分達成することは可能です。
ただし、株式投資は不確実性を伴いますので、目標以上に稼げる年もあれば、ほとんど稼げない年もあります。ですから、平均して、ということになります。
目標年数の間、目標の倍数だけ資産を増やすことができれば、目標である億単位の資産を築けるとなれば、できそうだと思えませんか。
本書ではリスクの高い投資方法をお伝えしますが、毎年2倍くらいに資産を増やしながら目標資産を目指すことを目標にしたいと考えています。
「資産激増」のために、最初のうちは集中投資を
前項の内容と矛盾する話のようですが、億単位の資産を作るためには投資を始めた最初のうちに一度くらいは勝負したほうがいいと思います。ここで言う「勝負」とは、集中的に1銘柄に投資することを意味しています。
というのも、資産規模が大きくなってくると、失敗した時に取り返しがつかないことと、特に小型株の場合は出来高が少ないため、大きな金額を1〜2銘柄に集中投資することが難しくなるからです。そのため資産規模が大きくなるほどパフォーマンスが落ちるということが発生します。そうすると1年の目標倍数を達成するのが困難になってきます。
そのため、資産規模が小さく、失敗しても取り返しがつくうちに、大勝負で大きく資産を増やす選択肢はありだと思います。私も資産が少ないうちは1銘柄に信用二階建て(現物株を担保にして同一銘柄をさらに信用取引で買うこと)で勝負しました。そのようなさらにリスクの高い投資(人によっては投機と言うでしょうが)も、最初のうちであればできます。
集中投資をすることによって資産が一気に増えれば、目標とする資産までの倍率を大きく下げることができますし、また、株式投資を行うにあたり精神的に大きく成長できます。ですので、資産規模が少ないうちに1銘柄集中投資をやってみるとよいと思います。そこまでできないという方は普通に分散投資をしながらでも構いません。
また、資産がある程度増えてくると、失敗した時に取り返しがつかなくなりますので、しっかりとしたリスク管理が必要となります。最低限、持ち株の中の1社が倒産しても、致命傷にならない程度にしておく必要があります。
堀哲也
日本株式専門投資家。7年間で60万円の資産を3億円に増大させた日本株式専門の投資家。1971年生まれ。名古屋大学理学部数学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)