私はこれまで、ファンダメンタルズもテクニカルもしっかり分析できるにもかかわらず株式投資で勝っていない投資家をたくさん見てきました。逆に、それほど分析できないのにトータルとしては儲けている投資家もいます。その差はどこにあるのでしょうか。

(本記事は、堀哲也氏著『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』日本実業出版社(2016/12/27)の中から一部を抜粋・編集しています)

自己コントロールするための心構えは「4つの鉄則」

株式投資,お金を増やす
(写真=PIXTA)

その差は、株式投資に対する心構えです。

私がこれまで見てきた経験から言えることは、「勝ち続けている投資家は例外なく自己コントロールができている」ということです。それができていない投資家は、大事なところで間違った判断をして資産を減らしています。

そこで、この章では、株式投資で勝ち続けるために必要な自己コントロールについてお伝えします。心構えとも言える「4つの鉄則」と、実践しておきたい「9つの実践」です。どれも聞いてみれば当たり前のことなのですが、お金が絡むと冷静さを失う人が多いのです。もし、あなたが株式投資の世界で儲け続けたいと思うのでしたら、これらを実践してほしいと思います。

一番大事なのは冷静な判断力を失わないこと

株式投資で最も大事な能力はなんでしょうか? 知識? 経験? 技術? どれでもありません。それは、どのような事態になろうと常に冷静に判断できる能力です。

当たり前の話ですが、株式投資はお金が絡みます。ギャンブルなどもそうですが、人間はお金が絡むと冷静に行動できなくなることがあります。株式投資の世界で儲けているヘッジファンドや証券会社等の大口投資家は、自分たちが儲けるために、あらゆる方法を使ってあなたを含めた個人投資家の冷静さを奪いにきます。

暴落を装って不安を掻き立てて安値で損切りさせたりとか、どんどん株価が上がっていくので出遅れまいと高値で買わせたりとか。私も信用取引の保証金維持率が不安で勝負銘柄を底値で損切りしたことがあります。

しかし、後から冷静に考えてみると、なんでこんなところでこの株を売った(買った)のだろうと思うのです。株式投資の世界で儲け続けたいのであれば、決してこのような投資をしてはいけません。株価は、世界中の人間の心理によって作られますが、あなた自身は冷静に客観的に会社と株価を見続けなければならないのです。

逆に言えば、これさえしっかりとできている人は、ある程度努力をすれば儲け続けることができるとも言えます。常に冷静に判断できることは、それだけ大事なのです。

そこで、株式投資で冷静に判断できるようにするために気をつけてほしい「鉄則」を4項目あげます。ぜひ、実施してほしいと思います。

鉄則1 本業が手につかないような投資はしない

ほとんどの個人投資家は本業である仕事を持ち、片手間に株式投資をしていると思います。私もサラリーマン時代は本業である仕事を持ちながら投資をしていました。そして、投資家の中には、株式投資を始めると、株価が気になって仕事が手につかなくなる人がいます。

確かに、誰でもリスクをとるのは不安ですから、その気持ちはよくわかります。しかし、株価が気になって本業に支障が出てしまっては本末転倒です。不安でしかたがない人はポジションのとりすぎであることがほとんどです。

1億円持っている人が1万円損するかもしれないと思っても、それで仕事が手につかなくなることはないでしょう。しかし10万円しか持っていない人が1万円損するかもしれない投資に手を出していれば、気になる人もいるでしょう。

ですので、不安な方は最初は少ない額から始めることをお勧めします。いまは、ミニ株など少ない投資金額で投資できる商品もありますし、株主優待銘柄など自分も楽しみながら投資すれば少々の値下がりは気にならなくなります。そして、慣れてきたら少しずつ大きな投資を始めます。何度も場数を踏めば、だんだん大きな投資を冷静にすることができるようになります。

かく言う私も、最初はリスクをとることができず、少しでも損しないかとビクビクしていた時期もありました。ですが、経験を積んだ結果、いまでは大きなトレードでもできるようになりました。

鉄則2 自分と反対の意見に耳を傾ける

鉄則2は、自分と反対の意見に耳を傾けることです。例えば、自分が買って持っている銘柄の売り方(その銘柄を売ろうとしている投資家)の意見に耳を傾けることです。

人は誰でも自分にとって心地よくない意見は聞きたくないものです。特に、持ち株の不安材料などは耳に入れたくありません。しかし、そこから目を背けてはいけません。いまはネット上に銘柄ごとの掲示板もありますので、むしろ積極的に自分の持っている銘柄の売り意見を聞くべきです。

もし、自分がその銘柄を買った判断についての見落としを見つけることができれば、大きな損失を未然に防げることになります。あるいは、売り方に大した意見がないのであれば、自分の判断は間違っていなかったのだという自信につながります。

また、株価が暴落した時こそ不安になって掲示板などを見ることがありますが、そういう時期は、その銘柄の不安要素の投稿であふれています。そこで不安になって株を売ってしまうのは冷静さを失った投資家です。事前にそういう材料が問題ないことを確認し、判断しておけば、狼狽する必要もありません。

自分が選んだ銘柄に投資したら、本当にその銘柄に弱点はないのか確認するためにも、そして、自分の持っている銘柄を冷静に客観的に判断するためにも、自分と反対の意見に耳を傾けるようにしてください。

『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』日本実業出版社(2016/12/27)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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鉄則3 損失の責任は自分にあると自覚する

株式投資について色々な方と話していると、投資で失敗した時に損失の原因を会社や他人に求める人がいます。実際、下方修正した銘柄の掲示板を見ると、会社への恨みつらみやその銘柄を推奨していた他の投資家の悪口など、損をした腹いせとしか思えない投稿を多数見かけます。

そして、そのような失敗の原因を他人に求める投資家は例外なく儲かっていません。おそらく今後も同じ過ちを繰り返すことでしょう。勝ち続けている投資家は、損失の責任は100%自分にあると理解しています。どういう経緯があれ、その銘柄に投資することを最終的に決めたのは自分自身ですから。

そして、あなたが今後投資で失敗して損失を出したとしても、冷静に失敗の責任を認めることにより、失敗の原因を分析して次に生かすことができるのです。そうすることで、あなたは勝ち組投資家に一歩一歩近づいていくのです。

鉄則4 株で勝った時こそ油断しない

株式投資で儲け続けられるようになるまでに、必ずと言っていいほど通る試練があります。それは、2?3回連続して読みを当てて儲けた時によく起こります。たまたまでも連続して儲けることに成功すると、「私は株式投資の天才」と錯覚してしまうのです。

こういう時こそ注意しましょう。そうしないと、その先で雑な投資をして必ずと言っていいほど大きな失敗をします。連続して成功した時こそ油断せず、冷静になりましょう。

堀哲也
日本株式専門投資家。7年間で60万円の資産を3億円に増大させた日本株式専門の投資家。1971年生まれ。名古屋大学理学部数学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)