中小企業のなかには日々の業務に追われて、従業員の福利厚生まで手が回らないという企業もあるのではないでしょうか。こうした状況に対応するため、厚生労働省をはじめさまざまな公的機関が余暇施設、保険、教育などの福利厚生サービスを提供しています。

民間のアウトソーシングサービスには魅力的なものが多くありますが、安価で安心できる公的機関のサポートもあります。今回は、その公的機関のサポートについて紹介します。

中小企業勤労者福祉サービスセンター

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(写真=PIXTA)

中小企業勤労者福祉サービスセンターは、各市町村に設置されています。会員企業による会費を原資として、健康管理や自己啓発、財産形成などに関わるサービスを提供しています。

一例として、公益社団法人渋谷区勤労者福祉公社の事業を紹介します。

東京都では23区(一部は共同運営)と各市で合計28の社団法人・財団法人があり、そのうちの一つがこの公社です。渋谷区内に勤めているか住んでいる中小企業の従業員や事業主が個人単位で入会し、月額500円を納めます。借り上げ宿泊施設を1泊1,500円から利用でき、カルチャースクールや自動車教習所の受講料の補助を受けることもできます。補助は他にもスポーツ、グルメ、温泉施設など多岐にわたります。健康診断も行っており、月2回まで無料で相談できるこころの相談室も設けています。

もし興味がある場合は、会社がある自治体に設置されているサービスセンターのサービスも調べてみましょう。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社

公益財団法人東京都中小企業振興公社は、東京都における中小企業の支援機関として、経営相談や助成金、貸し会議室などさまざまな事業をしています。その中の一つで「福利厚生なび」は余暇施設などが利用できる会員サービス「JOYLAND」の運営と、主に健康づくりをテーマにした研修の紹介をしています。

JOYLANDの入会資格は中小企業であることです。中小企業の定義は業種によって変わります。会費は従業員数によって異なります。10人以下であれば、1企業あたりの年会費が1万9,800円で利用できます。入会すると従業員とその家族は遊園地やスポーツ施設、旅行やレンタカーなどが安価で利用できます。

一般財団法人 あんしん財団

一般財団法人あんしん財団は中小企業の発展のために運営されている団体で、主な事業は福利厚生、ケガの補償、災害防止の3つです。

福利厚生には、健康診断の補助から、メンタルヘルス相談窓口の利用、施設利用や介護士資格取得、支援など、健康・レジャー・自己啓発と幅広く対応しています。

ケガの補償は業務中だけでなく日常生活における事故も対象になり、死亡・後遺障害・入院・通院と幅広く適用されます。

災害防止としては、安全運転適性診断の受診、災害防止用機器の設置などに対して補助金がでます。

また、法人でも個人事業主・一人親方でも会員になることができます。会費は1人につき月額2,000円です。東証一部・二部上場企業は対象外としているところに、中小企業支援を目的にしていることが表れています。

従業員の心と体に一層配慮を

福利厚生サービスについて紹介しました。紹介したものは、1人当たり月額500円からと安価で、幅広い分野に対応可能です。福利厚生に時間と費用を割くことが難しいと考える中小企業にとっては、公的機関が力強い味方になります。

働き方改革が叫ばれる昨今、従業員の心と体の健康を維持し自己啓発を促すことは、企業にとって重要になりそうです。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年4月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。