日経平均予想レンジ 19,468~20,000円

今週は、注目の米イベントを無難に通過した上、米国株の反発地合いを追い風に、日経平均は為替相場の落ち着きもあって、5/17からの下落分を埋めるなど自律反発色を強めた。

海外の焦点

トランプ政権が23日議会に提出した2018年会計年度予算教書によると、トランプ大統領の任期が終了する2021年には経済成長率は 3%に達する見通し。その後、少なくとも2027年まではその水準が維持されると想定している。

一部のエコノミストやFRB当局者からは、 楽観的過ぎるとの指摘が出ており、中銀担当者は米経済成長率は 長期的には1.8%程度になると見込んでいる。又、エコノミスト顧客レポートでは、10年間に2,000億ドルのインフラ投資が盛り込まれたが、 市場では、米議会との調整は難航し、実施可能性には疑問符が付 くとの見方が多い。トランプ大統領の政策遂行能力に対する信頼は既に低下しており、支持層減少の可能性も指摘されている。

こうした 状況下、足元のNYダウは企業収益拡大期待を支えにして5/8以来 21,000ドルを回復した。一方5/24のFOMC議事要旨では、「追加利上げが間もなく適切になる」と指摘し、次回6月会合での利上げの可能性が示唆された。市場ではすでに6月利上げを織り込み済みで反 応薄。インフレのリスクが高まらないままで、6月利上げを実施しても その後の利上げペースは極めて緩やかになるとの見方が広がって いる。

国内の焦点

上場企業の2016年度の決算が終了し、日経平均のEPSが1,401円 (5/25)に増加した。日経平均が20,868円の高値を付けた2015年度 のEPSは1,300円付近であることから、少なくとも2万円台を上回ってもおかしくはない。更に、5/25時点でのPERは14.17倍。米S&Pは1 8倍強、NYダウの17倍強に比べても割安感は顕著といえる。

国内景気は堅調で企業業績面での割安感が底流にある中でリスク要因の和らぎや、円安進行による企業業績の一段の向上が期待できる環 境が整うなどして、投資家心理が前向きになるかが上値挑戦へのポイントとなりそうだ。

来週の株式相場

テクニカル面では、5/8から5/17までの「離れ小島」を解消したことにより、調整一巡感から上値挑戦への足掛かりを掴む局面となる。 ただ、ここで押し戻されると二番天井が意識される点には留意しておきたい。以上、来週は良好なファンダメンタルズや企業業績を背景とした割安修正局面と捉えている。 日経平均のレンジは、上値は大台の20,000円が意識され、下値は25日線19,468円が目途となろう。

株式見通し5-26

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト