所得の3分の1を働かないで得ることができると聞いてどのように感じるだろうか? 例えば年間所得900万円の人であれば、300万円は「財産所得」から所得を得ている計算だ。

真面目な日本人は、「おカネに働いてもらう」ことに罪悪感を感じる傾向があるかもしれないが、実際のところ憧れる方もいるだろう。参考になるのが米国の家計だ。米国人の年間所得の3分の1は、おカネなどに働いてもらった「財産所得」となっている。米国の家計資産状況をみていこう。

「財産所得」が米国では所得の3分の1

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(写真=PIXTA)

冒頭の比率は、金融庁のホームページに掲載されている「平成 27 事務年度金融レポート、平成28年9月」のデータによるものだ。米国での家計資産の伸びのうち、「運用リターン」(運用でもうかった部分)は収入のかなりの割合を占めている。おカネが働いている部分である財産所得が3分の1あるのだ。それに対して日本では勤労所得:財産所得は約8:1となっている。

今ある資金を活用して、場合によっては「レバレッジ(てこ)」を効かせて、資産を担保に運用の規模を上げてリターンを上げる場合もあるだろう。そんなことまでして運用なんて、と考える人も多いだろう。

しかし、不動産に投資するリート(REIT)では実際に借入金を利用してリターンを上げている。4割以上の有利子負債もリートでは異常事態ではないのだ。もちろんレバレッジを推奨するつもりはなく、金利の上昇時には注意が必要だ。いずれにせよ運用リターンという財産所得が、米国では家計所得に貢献しているのだ。

アパート経営や資産運用で生計を立てている人々を「不労所得」などと揶揄することもある。実際は不動産経営でも資産運用でもリスクを取っての事業であるのだが。

この20年で米国と日本の家計はどのくらい増えた?

「金融レポート」にはこんなデータもある。運用リターンによる米国の家計金融資産は1993年から2013年の20年間で、2.32倍になっている。日本は1.15倍だ。これらの違いはなぜ起こっているのだろう。答えの一つはポートフォリオの違いだ。

「ポートフォリオ」(厳密には資産配分を示すアセット・アロケーション)とは、株式や債券、ETFや投資信託、定期預金などに何%ずつ投資するかのプランだと考えて欲しい。定期預金や預貯金は元本確保型でリスクは少ない。資産が倍になるような大きな値上がり幅は、現状の低金利下では預貯金によっては見込めないであろう。

「財産を働かせる」米国人、「自分が働く」日本人の違い

2014年7月の金融庁の「金融モニタリング・レポート」によると、米国では家計の53.2%の割合で有価証券が占めていた。日本では有価証券の割合は16.1%しか無い。これに対して、預貯金は米国の12.7%に対し、日本では53.1%となっている。日本で預貯金を活用するのと同じような割合で、米国では有価証券に投資を行っているということになる。

日本には土地神話があるようだ。ビルやマンションなどの賃貸投資には金融機関からの借入ができる場合が多く、レバレッジのメリットがある。しかし不動産は1週間では換金できないケースがほとんどだろう。換金性では海外・国内のETFやリートや株式といった金融商品が勝る。1週間で為替を含めて日本円に換金できるからだ。

夢の生活のために何が必要なのか?

とはいっても、自分自身で常にマーケットを見続けることが可能で、他の事業や勤務をせずにそれだけで生計を立てられる人は稀だろう。

投資のパートナーとして、プロのアドバイザーを活用する方が近道かも知れない。なおFP資格でこの業務を行っているものは法令違反者で、「投資助言業登録」が必要だ。

また投信販売など手数料(コミッション)を収入源とする業者は、顧客の資産が増えることよりも「販売手数料などコミッション」を計上することに熱心にならざるを得ない場合がほとんどだろう。極端な例だが、仮に良いポートフォリオ構築し、結果として10年間で1回しか売買しないという場合を考えると、証券会社・銀行などのノルマはこなせないことは明白だろう。

高い手数料の商品や頻繁な売買を勧めない「顧客本位のアドバイザー:金融執事」が顧客との利益相反が少ないことを理解すべきである。米国ではRIA(Registered Investment Adviser)といわれる投資顧問業者が2万6000以上もある。彼らが顧客の資産運用チャネルとして活躍しているのだ。

コミッションではなくフィーのビジネスなのだ。契約残高×報酬比率という報酬体系(フィー)は、顧客の資産が増えるとRIAの報酬も増える仕組みだ。頻繁な売買で手数料を払い、顧客の残高が減少する助言を避ける。また、高い手数料の投信に実効性があるのかを疑問に持つ。結果的に販売手数料ゼロで低い信託報酬のETFや、信託報酬の無い株式でのポートフォリオ構築を可能としているのだ。なお顧客の取引金融機関での株式売買手数料は必要になる。

米国の家計の資産運用が「顧客本位の業務運営」を担うアドバイザー、いわば「金融執事」に支えられていることを知って欲しい。

安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社代表取締役。CFP®ファイナンシャル・プランナー、元プライベート・バンカー。日米欧の銀行・証券・信託銀行に26年勤務後、独立。お客様サイドに立った助言を実践するためには高い手数料は弊害と考え、証券関連の手数料を受け取らない内閣総理大臣登録の「投資助言業」を経営。著書に『iDeCo おしえてあげる 1時間でわかる版』

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