できる人は、「良いもの」を長く使う!

仕事,服装の習慣,スーツ
(写真=The 21 online)

ビジネスの場面では、服装も重要だ。だらしない見た目だと仕事もできない人と見られてしまう。とくに40代ともなると、年齢相応に頼りがいのある印象に見せたい人も多いはず。スーツスタイリストの三好凛佳氏に、スーツの選び方や着こなしなど、「服装の習慣」について教わった。

「普通」のつもりでも悪目立ちする例とは?

仕事ができる人の服装を見ていると、まず大前提として言えるのは、「自分が着たい服」よりも、「相手への配慮・マナー」を優先した装いをしているということが言えます。「相手がどう思うか」を考えた服装ということです。

これは、TPOをわきまえているということでもあります。たとえば、同じビジネスシーンでも、「社外でのプレゼン」「社内の会議」「内勤の日」など、さまざまなシチュエーションがありますが、これに合わせて少しずつ着こなしを変えるのです。

わかりやすい例を挙げますと、仕事ができる人は、男性ならネクタイやシャツの色、女性ならジャケットの中に着るインナーの工夫や小物使いが上手です。

プレゼンなど自己主張やアピールが必要な場面なら赤などはっきりした色、部下の相談に乗るときなら落ち着いたグリーンや青など……といった具合です。

また、たとえば春先ならピンクや明るいグリーンなど、季節感のある色を取り入れています。これも、「相手の目を楽しませる工夫」という意味ですから、相手に配慮したオシャレと言えるでしょう。

もちろん、色も柄も人によって似合うかどうかは異なりますので、そこは周囲の人に意見を聞いてみたり、自分で試してみたりしながら、似合うものを見つけてください。

コーディネートに関しては、新しく服を買ったときに組み合わせてみることが大事です。良いと思うコーディネートを見つけたら、写真に収めておきましょう。そうすれば、朝の身支度のときに迷わずに着るものを選べます。

体型に合わないスーツは信頼感がない

もう一つ、仕事ができる人がスーツを選ぶときに気を配っているのは、「サイズ感」です。ジャストサイズのスーツを着ているので、シルエットが美しく、肩や背中などに余計なシワが出ません。肩周りに ゆとりがありすぎたり、ウエストのボタン部分にシワが寄っていたりするのは、体型に合っていない証拠ですし、着心地も良くないです。

スーツを買うときにお勧めしたいのが、パターンオーダーです。オーダーメイドというと、細かく採寸して型紙から作るフルオーダーを連想する人が多いかもしれませんが、これは自分にぴったりの一着ができるものの、その分価格も高く、時間も数カ月かかります。

それに対してパターンオーダーは、サイズサンプルの中から自分の体型に最も近いものを選び、袖や着丈などの長さを調整しながら作る方法です。既製品と同程度の価格帯(3万円代~)で、仕立てにかかるのも3週間程度。それでいて、既製品よりも確実に自分に合ったサイズのスーツが仕上がります。

アラフォーになったら服装を見直そう

30代後半~40代になると、20代と比べて体型に変化が生じる方が多いので、この機会にパターンオーダーを試してみると良いと思います。

それに加えて、この年代は服装を見直す節目としてちょうどいいのではないかと感じています。仕事でもプライベートでも立場が変わる時期で、管理職に昇進する方が多く、プライベートでは結婚したり、親になる人も多い年代です。

こうしたライフステージの変化に応じて、それまで着ていたものがしっくり来なくなり、年相応に落ち着いた印象や信頼度を与える服装が求められるようになります。20代から30代前半までは同じブランドでもいいでしょうが、40代を視野にいれたときに、体型の点からも相手に与える印象という点からも、ブランドごと見直してみましょう。

面倒でも、帰宅したらすぐ「手入れ」!

着こなしと同じくらい大事なのが、服や靴の手入れをする習慣を持つことです。良いものを着ていてもどこか残念な印象を与える人は、手入れを怠っていることが多いのです。

1日身につけたスーツや靴は、汗を吸い、ほこりや汚れがついています。外から帰ってきたらそれらを手入れし、休ませることが必要です。

まず、スーツにはブラシをかけましょう。豚毛など動物の毛でできたブラシは、繊維の中のホコリを落とし、繊維の向きを整えてくれます。その後、必ずハンガーにかけてしまいます。

靴にも軽くブラシをかけてほこりを落とし、型崩れを防ぐため、シューキーパーを入れておきます。スーツも靴も翌日は休ませ、違うものを身につけるようにしましょう。

服も靴もある程度良いものを買って、手入れをしながら大切に長く使うのが良いと思います。

■スーツ
スーツの基本はウールなどの「天然素材」。天然素材であれば、上品な質感を得られるだけではなく、シワが復元しやすいなどの利点がある。色は、紺またはグレー。柄は無地、もしくはストライプなどが良い。パンツには常にクリースが入っていると、清潔感が増し、スタイルが良く見える。クリーニングなどで折り目加工をしてくれるところもある。生地には負荷をかけるが、こまめにアイロンをかける時間がないという人にはお勧めだ。

■靴
靴はその人の価値がもっとも反映される箇所である。ある程度以上の質の靴で手入れをされているものかどうかで、その人全体を判断されることが多い。予算内で構わないが、ある程度の額の靴を購入することは、安全に大きな成果が期待できるもっとも確実な投資法。「ストレートチップ」と呼ばれる、靴紐があり、つま先に1本の切り替え線が入ったタイプなら、どんな場面でも合わせやすい。

■ネクタイ
ネクタイはスーツや靴に比べて選択肢が比較的広い。しかしビジネスの正式な場に着用する柄は次の3つのみ。無地・水玉・小紋柄で ある。ただし、シーンによってはこの限りではない。たとえば社内プレゼンの際には、目を引く色等 で印象に強く残るネクタイでも良い。一方、1対1の商談のようなシーンでは、相手を威圧せず、親しみやすい ような、安心感を与える色柄を選ぶことがお薦め。相手のことを一番に考え選択を。

■シャツ・その他
シャツの色で迷ったら、白か水色ならまず間違いがない。プレスがきいて、襟がキレイに決まるという点では、コットン100%のものが良い。また同じコットンでも、折られた糸の太さによって、見た目や着心地が大きく違ってくる。また、手を抜きがちなのが靴下。立っているときはパンツの裾に隠れていても、動いたり座ったりすると意外と目立つ。ハイソックス以上の長さのある薄手の靴下で、色は黒、濃紺、グレーなどを選ぼう。

三好凛佳(みよし・りんか)〔株〕レアリゼスタイル代表取締役
パーソナルファッション(R)スタイリスト、スーツスタイリスト。 国際イメージコンサルタント。関西女子美術短期大学(現・宝塚大学)デザイン美術科卒業 。17年間アパレル企業に勤務し、ファッションデザイナーウィンドウプレイヤー、店舗主任などのキャリアを積む。2002年より個人向けスタイリストとして起業し、多くのビジネスパーソンから支持を得ている。2007年国際イメージコンサルタント協会(AICI)国際ライセンス取得。 http://www.realiser.biz/ (取材・構成:西澤まどか)(『 The 21 online 』2017年5月号より)

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