Googleが「Android Pay」を利用したモバイル決済「NPCI」のサービス開始に向け、インド準備銀行(RBI)の承認待ちであることが分かった。

これはインドの決済会社、ナショナル・ペイメンツ・コーポレーション(NPCI)が発表したもので、FacebookやWhatsAppが同様の交渉にのぞんでいるほか、AmazonとUberもインドの次世代オンライン決済「UPI」の取り扱いを始めるという。

大手企業を魅了するインド市場の成長力

ニュー・インディアン・エクスプレス紙の報道によると、GoogleはすでにUPIのテストを終え、決済市場への参入が秒読み段階に入ったという。

NPCIが開発して2016年4月に導入されたUPIは、個人情報の代わりにメルアド、携帯番号によるIDや認証コードを利用することで、ネット送金・決済の安全性と利便性を高めたものだ。

Googleはその急成長ぶりに世界中が注目するインド金融市場への参入に、いち早くアプローチした企業のひとつである。

昨年には金融情報サイト「Bharat Savers」 を立ちあげ、モディ首相の先導する金融改革に一役買うなど、Android PayとUPIに互換性を持たせるという戦略に向けて着実に地盤固を進めていた。

人口規模、GDP成長率、金融システムの普及度といった観点から見て、インドは中国に次ぐ成長の可能性を無限に秘めた巨大市場だ。国際企業がこぞって進出するのは当然の流れといえる。

Uber「UPIはインドにおける決済システムの未来」

NPCIのA.P.ホタCEO はGoogleの近状を公表するとともに、FacebookやWhatsAppがUPIを利用した決済について交渉中であること、AmazonとUberはUPI決済の取り扱いテストを実施したことを明らかにしている。

今のところGoogleがインド決済市場に一番乗りを果たす米国IT企業となりそうだが、RBIの承認待ち期間に関しては不明だ。

ホタCEOは「大手企業の参入によって生じうる総体的なリスク検証」をRBIの義務と見なし、GoogleなどがRBIの承認後に提携関係を結ぶ意図で、複数の金融機関と話し合いの場をもっていたことも公にした。

Facebookは「Facebook Messenger」とUPIの融合を検討しており、交渉の準備段階にあるそうだ。WhatsAppは既に交渉を始めたとされている。しかし最終決定はRBIによって下されるため、現時点ではどの企業がインド決済市場への進出に成功するかわからない。

Uberが「インドにおける決済システムの未来」と絶賛するUPIが、インドの金融産業を根底から改革することは間違いないはずだ。今後、中国とともに跳躍を遂げると期待できる。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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