築地市場の移転問題でクローズアップされている東京都江東区の豊洲地区は、有明や東雲などと同様、1923年の関東大震災の瓦礫処理で埋め立てられた土地だ。

IHI <7013> に代表されるように、工業を主要産業として発展してきた同地だが、区画整理や大規模な再開発の進行により、現在では中高層の共同住宅や商業施設が林立する近代都市の様相を呈している。ここでは東京商工リサーチ、TSRの調査結果から、この豊洲地区の実像に迫ってみることにしたい。

豊洲地区に多く見られる「職住一体型企業」

豊洲,業種
(写真=PIXTA)

TSRが309万社に上る企業データベースから豊洲に本社を置く804社を抽出、これらを分析した結果、産業別で最も多かったのは44.0%を占めたサービス業他だった。

この内訳を見ると、業種別での最多は経営コンサルタント業やデザイン業などの「専門サービス業」だった。タワーマンションなどの富裕層向け住居が増加しており、専門職の職住一体型の企業が多いものとみられる。

意外と少ない「食料品関連企業」

サービス業他に続いたのは、10.4%の情報サービス業、9.0%の不動産賃貸業・管理業、5.9%の不動産取引業などで、大規模な設備投資を必要としない第3次産業が中心となっており、都心に近い立地条件を活かした企業が多いのが特色だ。

その一方で、飲食料品卸売業が9社、うち生鮮魚介卸売業2社、飲食料品小売業が17社、うち鮮魚小売業2社に留まっているなど、食料品関連を取り扱う企業は圧倒的に数が少ない。この点、飲食料品卸・小売業が5割を占める築地周辺とは様相が大きく異なっているのが注目される。

売上高1億円未満の小企業が多い

売上高が判明している豊洲所在の167社について売上高分布を見ると、最も多かったのは1億円未満の35.9%、60社だった。これに続いたのは100億円以上の23.3%、39社で、大手と小・零細企業の両極端に分かれる結果となっている。豊洲駅周辺のオフィスタワーには、都心などから移転してきた大手企業も多い。

売上高のトップは、2017年3月期が8609億円だったNTTデータ <9613> で、2017年3月期が7198億円だったIHIがこれに続いている。このほか半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス <6723> や、水産物大手のマルハニチロ <1333> など、各業界の大手が本社を構えており、1000億円を超えるような大企業は7.1%にあたる12社を数えた。

旧東京石川島造船所の時代から「豊洲の顔」として君臨していたIHIの造船所跡地には、地区最大の再開発案件として大型商業施設の「ららぽーと豊洲」が建設されるなど、豊洲の街が変貌する起爆剤となった。

業歴の浅い企業が多くを占める

埋め立てで生まれた歴史の浅い地区だけに、業歴別では5年未満の企業が42.0%の338社と最も多く、新興企業の比率が高いのが目立つ。業歴10年未満の企業が約7割を占めており、再開発によるオフィスやマンションの増加に伴って、企業数が急速に増えていることが分かる。

一方で、業歴100年以上の老舗企業も4社あり、中でも最も古い業歴を誇るのは、1853年に幕府の命を受けて、石川島造船所として現在の中央区佃にあたる隅田川の河口に創設されたIHIだ。このほかの業歴の長い企業も、別の創業地からその後に豊洲へ本社移転してきた企業が少なくない。

新設法人が多い中、市場移転の影響は見られず

2016年に豊洲で起業した新設法人は、前年比35.8%増の106社だった。直近5年間を見ても増勢基調で推移しており、50社だった2012年と比べると2倍増となっている。これは2016年の東京都の増加率、前年比0.8%増を大幅に上回っている。

2016年の新設法人を業種別でみると、最多だったのは学術研究と専門・技術サービス業の25社で、これに次いで不動産業の24社、情報サービス・制作業の11社などとなっている。一方、飲食料品卸売業が1社のみ、飲食料品小売業に至ってはゼロだったことからも、市場移転を見据えた関連事業者の法人設立の動きは特に見られない。(ZUU online編集部)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)