米国子会社「ウェスチングハウス」を中心とした巨額損失問題が明らかになった東芝 <6502> は、事業年度の末日(2017年3月31日)に債務超過の状態であることが確認されたため、2017年8月1日付で東証一部から二部へと指定替えとなる。いわゆる降格である。指定替えに伴い、東芝は日経平均株価の構成銘柄から外れることとなった。株価指数から外れたり、採用されると株価がどのように動くのだろうか。

日経平均株価とは? 225銘柄とは?

昇格銘柄,東芝,二部降格
(写真=r.classen/Shutterstock.com)

日経平均株価とは、日本の代表的な株価指数の一つである。日本経済新聞社が東証一部に上場している企業の中から独自の基準で225銘柄を選定し、その225銘柄で構成されている。日経平均プロファイルを見るとわかるように、例えばソニー <6758> やトヨタ自動車 <7203> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> といった日本を代表する企業が225銘柄として選定されている。

日経平均プロファイル

東芝は、8月1日付で東証二部に降格することに伴い、225銘柄から外れることになる。その代わりとして新たに大手精密機器メーカーのセイコーエプソン <6724> が構成銘柄に新規採用される。

指数への新規採用、東証二部への降格で株価はどう変わる?

金融商品の一つとして投資信託(ファンド)がある。投資信託の投資先は様々であるが、例えば日経平均株価や東証株価指数(=TOPIX)等、株価指数を投資先の一つとして組み入れている投資信託や、指数に連動するETF(上場投資信託)がある。日経平均株価を投資先として組み入れている投資信託の場合、日経平均株価と連動するように個別銘柄の組入調整を行わなければならない。

今回、日経平均株価の225採用銘柄にセイコーエプソンが組み入れることによって、日経平均株価を投資対象としている投資信託等からの買い需要が発生する。反対に、東芝は日経平均株価の採用銘柄から外れるため、投資信託からの売りが発生することになる。

セイコーエプソンには日経平均株価に連動する投資信託や指数をベンチマークとする機関投資家等からの組み入れ需要からの買いが増えることで株価の上昇が期待できるため、それを狙った投資家からの先回り的な買いが増えることになる。こうした背景から、これを好感した先回り買いによってセイコーエプソンの株価は7月12日に2726円まで上昇、年初来高値を更新した。

採用銘柄を狙った「イベント投資」のリスクとは?

日経平均株価に採用される225銘柄の基準は、株式市場での売買高や産業分類間のバランス等といった様々な要因で決定されている。日本経済新聞社は原則として年1回、10月の第1営業日に構成銘柄を定期的に見直している他、採用銘柄の合併、倒産等があった場合には臨時に銘柄の追加を行う場合がある。

そのため、今後、次の銘柄入替の際に225銘柄に採用される可能性が高い銘柄を予測して先回りして銘柄を買う投資手法もある。狙いを定めて事前に購入しておいた銘柄が225銘柄に採用されれば株価は上昇する可能性が高い。225採用を狙ったイベント投資の一つと言える。

しかし、225銘柄に採用されない場合もある。過去には採用候補として有力視されていながら225銘柄に採用されなかった場合には、失望観から売られ、株価が大幅安になることも多い。

セイコーエプソンは8月1日付で225銘柄に採用されることが決まったが、過去には採用が見送られた経緯もある。その際は、株価は大幅安を余儀なくされた。225銘柄に採用されないことが決まった場合には一気に売られるリスクもあるため、注意はしておきたい。一方、新規で採用への期待が小さかった銘柄は大幅高になる可能性もある。

東芝とセイコーエプソンの場合には、東芝が東証一部から二部に降格することでセイコーエプソンの採用が決まったわけだが、反対に東証二部から東証一部に昇格してくる銘柄もある。市場昇格を狙ったイベント投資に当てはまる。

東証二部から東証一部に昇格した場合には、東証株価指数に組み入れられる可能性がある。つまり、東証株価指数を投資対象とした投資信託等からの買い需要が発生することによって、株価は上昇する可能性が高い。

東証二部に上場している銘柄は通常、時価総額の小さい銘柄が多い。時価総額の小さい銘柄ほど、株価指数に組み入れられることによる買い需要のインパクトは大きくなるため、株価の上昇は大きくなりやすい。

もちろん、市場昇格を狙っていても、すんなりと市場昇格になるわけではない。市場昇格にならなかった場合の売りは、時価総額が小さいほど売りを吸収することは難しくなるのもまた事実である。

これらのリスクもあることをあらかじめ理解できれば、時間がかかるかもしれないが、高い確率で株価は上昇する可能性があるので、他の投資手法に比べれば儲かる確率は高いと言えるかもしれない。日経平均株価の採用や市場昇格を狙ったイベント投資も試してみても面白いかもしれない。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。

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