世界最大級の金融機関であるUBSは、日本、香港、シンガポール、メキシコ、イタリア、スイス、英国の7ヶ国における、居住不動産を除いて100万米ドル以上の投資可能資産を持つ富裕層、計2842人を対象とする意識調査の結果を発表した。ここではその概要を紹介しておくことにしたい。

日本の富裕層の約8割は「不確実な時代」と感じている

富裕層
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「現代が最も不確実な時代である」という意見に強く賛同、またはある程度賛同した人の割合は、スイスが77%、日本が79%だったほか、他の国では軒並み80%を超えた。

また、不確実性の最大の要因としては、日本では「老齢化」、香港では「社会問題」、シンガポールでは「さらなる貿易障壁のリスク」、メキシコでは「汚職」、イタリアでは「高い若年層失業率」、スイスでは「不動産価格」、英国では「EU離脱交渉」といった具合に、それぞれ各国特有の不安が挙げられている。

最も信頼できる情報源は「新聞」?

日本の富裕層が重要な決定を下す際に信頼する情報源として挙げたのは、「新聞」が世界平均を上回ったほか、それに次ぐ「テレビ」もほぼ同等だったのに対し、オンラインメディアやSNS、ブログ等への信頼性が低いことが目立つ。

一方で、日本の富裕層の大部分が政府に対して非常に現実的な見方を示していることも注目される。半数近くが一党支配の国家は不確実性の要因であると回答しており、民主主義が安定をもたらすものであると考える一方で、回答者の77%の有権者が、投票の際に事実よりも感情に左右されていると考えていることに象徴されるように、民主主義体制の欠陥についても意識していることが分かる。

また、テクノロジーによる将来予測について、日本の富裕層もいくつかの分野ではその可能性を見出しており、半数以上がビッグデータや人工知能について期待感を示している。ただ、ロボット工学やSNSなどに関しては、日本人は他国の人々に比べて懐疑的で、それらが不確実性を軽減するとは考えていないようだ。

日本の富裕層は、バランス感覚を重視

他国と同様に、日本の富裕層も世界が不確実だからといって、短期的な思考に陥るべきではないと考えている。ただその一方で、彼らは他国の富裕層以上に長期的な計画に偏重することにも慎重だ。つまり、日本ではバランス感覚が重要視されているのだと言える。

世界平均と同様の傾向として、日本でも回答者の72%が短期的リスクに気を奪われて、長期的な投資計画に集中できないでいると回答しており、そうした傾向は特に若い富裕層に顕著に見られる。

また、地政学的リスクが短期的にも長期的にも不確実性をもたらす大きな要因に挙げられていることにも注目が必要だろう。中国や韓国との領土問題や、北朝鮮情勢を反映した結果だと考えられるが、地政学的リスクがこれほど大きな懸念事項と捉えられているのは日本だけなのだ。

日本の富裕層はリスク回避型?

日本の富裕層の間では、ビジネスの短期的な業績と長期的な投資が両立し得るとの見方が、他国と比べて最も低くなっている。「最も不確実な時代」において、日本の富裕層はどの
ように自身の資産や投資に関する決定を下しているのかを見ると、日本の富裕層はリスクに対して相反する考え方を持っているのが分かる。

まず、日本人は自らを慎重な投資家であると評価しており、現に回答者の82%が、日本人はそもそも他国の人々よりもリスク回避型であると答えている。さらに金融リスクを見極める能力に関しての自信は、世界平均では回答者の77%が自らの投資に関する決断に自信があると答えたのに対し、日本では59%に留まっていたなど、世界最低水準だったのだ。

また、日本の富裕層は他国の富裕層以上に将来を慎重に考えているようで、個人的な成功と経済全体の成長に関するいずれの見通しについても、日本人投資家は世界で最も慎重な見方を示していることも興味深い結果だと言える。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)