大中都市における新市民の住宅問題を解決するため、このほど中国の住建部(住房及び城郷建設部)、国家発展改革委員会、公安部等九部門が連合して「関干在人口浄流入的大城市加快発展住房租賃市場的通知」(以下、通知)を発布した。官製メディアの人民網が伝えた。賃貸住宅の分野ではどのような問題が起こっているのだろうか。
賃貸物件の不足
2016年における中国の流動人口は2億4500万人にのぼる。また毎年の新卒大学生は700万人前後である。彼ら新卒と農業からの転業人口が。都市の賃貸物件を必要とする新市民の主体だ。
大中都市に流入する新市民は非常に多く、賃貸物件への需要は旺盛だ。それに対して賃貸物件の絶対量は不足している。市場に規範はなく、政策体系も不完全なままである。不動産研究の鍵家研究院が発表した“租賃市場系列研究報告”によると、直近の北京、上海、深センの賃貸人口は全体の34%~40%の間である。それに対して物件数は全体の20%に過ぎない。
国家統計局の発表した2017年6月の全国主要70都市住宅販売価格変動状況から、北京、上海、深センの数字をひろってみる。2年前2015年を100とした場合の現在の価格指数である。
北京新築 135.4
北京中古 153.7
上海新築 145.1
上海中古 142.6
深セン新築 147.1
深セン中古 142.1
となっている。昨年10月以降、価格抑制策を導入していながら 2年で40~50%値上がりしている。この3都市には、富二代でない限り新市民に手のとどく物件はもはや一つもない。賃貸住宅の整備が急務である。