7月14日、帝国データバンクは「TPP11に関する企業の意識調査」の結果を公表した。1月に米国が離脱を表明し、11カ国での交渉が続くTPP11であるが、企業の5割超がTPP11は「日本に必要」だと考えている事が分かった。ただ、企業の期待値は米国離脱前からは減少しており、業種による温度差も目立つ。

自社にプラスと考える企業は12.8% 米国離脱で期待値減少

同調査は6月19日~30日かけて行われ、1万45社から有効回答を得た。TPPに関する調査は2015年12月以来の3回目となる。

TPP11が日本にとって必要であるかの問いに対し、企業の51.7%が「必要だと思う」と回答した。TPP11が日本にもたらす影響を好意的に捉える企業は半数を超え、「必要だと思わない」と答えた企業は12.0%に留まった。ただ、TPP大筋合意直後であった前回調査では、「必要だと思う」と答えた企業は64.5%であった事を考えると、米国の離脱で必要性を認識する企業が減少する結果となった。

また、TPP11が自社の業界にとって必要であるかの問いでは、「必要だと思う」と回答した企業は22.5%であった。「必要だと思わない」は32.6%に上り、「必要だと思う」との回答を上回った。しかし、こちらも前回調査に比べ、必要性を認識する業界は減少している。

TPP11が自社に与える影響については、「プラスの影響がある」が12.8%、「マイナスの影響がある」が5.6%という結果となった。「影響はない」と答えた企業は38.9%に上った。前回調査では、「プラスの影響がある」が16.3%、「マイナスの影響がある」が7.3%であり、どちらの比率も減少した事となる。「影響はない」と答えた企業の割合は微増となった。米国の離脱により、TPPの影響力自体が無くなったと考える企業が増えたと見られる。

TPPにおいて、米国は全体のGDPの6割近くを占めていた。米国の離脱が与える影響は非常に大きい。米国の離脱が日本に与える影響については、44.0%の企業が「マイナスの影響がある」と答えた。「プラスの影響がある」は5.0%、「影響はない」は10.8%だ。米国抜きのTPP11に過度な期待は禁物かもしれない。

業種によっても大きく異なる期待値