総務省がまとめた2016年の家計調査によると、2人以上世帯がスポーツクラブにお金を掛ける年額は全国平均で4722円だった。ゴルフのプレー料金や他のスポーツ施設の利用料などと区別して、この項目単独での統計が開始された2010年以降、最も多い金額になっている。
ちなみに2011年の3145円が最低値で、その後は年々増加を続けている。消費支出全体が2011年の340万円からほぼ横ばい状態にある中で、スポーツクラブの利用が増えているのは興味深い。そこでここでは、都道府県庁所在市に川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市の政令指定都市5市を加えた52都市について、スポーツクラブ使用料の多寡を見てみることにしたい。
ここでのスポーツクラブの定義
スポーツクラブと言うと、学校や企業などでスポーツ愛好者が自発的に集まった団体を思い浮かべる人も多いと思うが、家計調査の「スポーツクラブ使用料」の項目については、いわゆるフィットネスクラブやヘルスクラブ、スポーツジムなどと呼ばれている会員制クラブの会費だと思えばよいだろう。
自分のスタイルにこだわってスポーツクラブに通うような例も少なくなく、実際2017年3月期の主要プレイヤーの決算もしくは第2四半期の情報を見ても、RIZAP <2928> 、カーブスジャパン <2157> 、東祥 <8920> などが急成長を遂げており、ルネサンス <2378> やセントラルスポーツ <4801> も増収増益を達成している。
経済解析室は2015年2月にフィットネスクラブに関する分析を発表しているが、そこにはいくつかの特徴ある分析結果が指摘されている。その筆頭は、60歳以上のシニア層がフィットネスクラブに熱心だということだ。
実際「スポーツクラブ使用料」について1世帯当たりの年間支出額を見ると、世帯主が60歳代の世帯が最も多額になっている。また、フィットネスクラブの会員に占めるシニア層の割合も、全人口の年齢別構成比の変化幅以上に上昇しているという。こうした傾向に応じるため、介護予防の効果に着目したサービスなど、シニア層を意識した様々な取組を実施するフィットネスクラブも増えているのだという。