総務省がまとめた2016年の家計調査によると、2人以上世帯の寄付金の年額は全国平均で4953円だった。この金額は記録がある統計で最も古い1994年以降では、2011年の6579円や1995年の5834円に続く高い数値になる。

寄付金が増えた要因で見逃せないのは、やはり「ふるさと納税」だろう。「納税」という言葉がついてはいるものの、実際には、公共団体への寄附にあたる「ふるさと納税」は、従来の「寄附」の概念を大きく変えたと言っても過言ではない。そこでここでは「ふるさと納税」の動向も踏まえた上で、都道府県庁所在市に川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市の政令指定都市5市を加えた52都市について、寄付金の多寡を見てみることにしたい。

影響が大きい「ふるさと納税」

ふるさと納税,寄付金額
(写真=PIXTA)

一般的には自治体に寄附をすると、確定申告を行うことによって、寄附金額の一部が所得税や住民税から控除される。ところが「ふるさと納税」の場合には、原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除対象となるのだ。

総務省の取り纏めによると、2015年の寄付額を反映して各自治体が2016年度に失う個人住民税の金額について、最多だったのが東京の262億円で、次いで神奈川の103億円、大阪の86億円、愛知の75億円、兵庫の54億円などとなっている。返礼品を充実させている自治体に寄付が集まる傾向が強く、結果として都市部から地方に税収が移動しているのが分かる。

こうした傾向は家計調査にも顕著に表れており、寄付金額を都市階級別にみると、人口が5万人以上の市は5167円で、小都市や町村の3790円を大きく上回っていた。中でも大都市は7524円、中都市でも4382円と、大きい都市ほど金額が増している。

地方別トップは関東の5993円

寄付金額を地方別に見ると、トップは関東の5993円で、以下東海が5983円、近畿が5958円、四国が5601円、北陸が4629円、中部が3496円、東北が2571円、九州が2392円、北海道が1944円、沖縄が1650円となっている。

また、大都市圏についての集計結果も発表されていて、それによるとトップはやはり関東圏の6920円だった。以下、中京圏が6597円、近畿圏が6508円、北九州・福岡圏が2207円などとなっている。これらも「ふるさと納税」と重ね合わせて考えれば、概ね納得のゆく結果なのではないだろうか。

都市別にみてもトップ5は大都市