日本では、「結婚=婚姻届の提出」というイメージがいまだに強いが、フランスでは事実婚、つまり内縁関係の割合がかなり高い。そのお陰で、少子化がかなり改善されたという。もちろん、日本でも少数ながら事実婚(内縁関係)の「夫婦」はいる。関係が良い時は特に問題ないが、一度こじれるといろいろな問題が出てくる。

「内縁」と婚姻との違い

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(写真=PIXTA)

一度、株式会社設立の件で依頼を受けた顧客から連絡があった。その知人のAさん(男性)が、内縁関係にあるBさん(女性)に関係解消の話をしたところ、金銭の支払いを要求されたと言う。

翌日Aさんから詳しい経緯を聞いた。Bさんと同居を始めたのは2年ほど前、「婚姻届」を出していないだけで、夫婦同然の生活で家賃や食費を折半していた。また、この2年間、特に結婚の話は出ていなかった、とAさんは言う。

解消の話が出たのは先月、Aさんから切り出した。特に大きな喧嘩をしたわけでもなく、どちらかに新たな相手ができたわけでもない。ただAさんが2年間で思ったのは「Bさんはこの先結婚を考える対象ではない」ということである。

Aさんがその点をBさんに説明すると、多少時間はかかったものの理解を示し、同意してくれた。ただ解消に際し、「慰謝料的なもの」を要求された。はっきりとした「慰謝料」ではなく、今後Bさんが別に生活するための金銭的な負担である。

Aさんから「これって支払う義務はあるのでしょうか」と聞かれた。この点は、婚姻と内縁の違いに大きく関わってくる。

内縁とは、男女が共同生活を営み、傍から「夫婦」の関係だと認められていても、法的な婚姻関係にない、つまり「婚姻届」を提出していない状態である。法的な夫婦ではないから、どちらかが亡くなっても相続権はなく、行政上の手続きにも制約がある。

内縁関係の解消と慰謝料