世界中のハッカーが集結し、ハッキングの腕前を競うコンテストやスピーチを行うハッキング・イベント「DEF CON(デフコン)」で、米陸軍が未来のセキュリティー専門家育成の一環として、ハッキングのスキルを8歳から16歳の子どもに教えていることが分かった。

セキュリティー企業Synackと提携し、オープンソース・ツールやコマンドライン・ツールを利用した、基本的な「初心者向けのエクスプロテーション(攻撃)」を教えているという。

システムの脆弱性をハッキングで探す「ホワイト・ハット」

CNNの報道によると 、子どもハッカー育成所ともいえるワークショップ「r007アサイラム」 の指揮をとるのは、米陸軍サイバー・スクールで兵士にサイバー・スキルを教えているダニエル・リム中尉だ。子ども向けの教習とはいえ、実際に兵士に用いている訓練内容と大差はないという。

目的は「ホワイト・ハット」や「ホワイト・ハッカー」の養成である。「ホワイト」という名称から想像できるだろうが、システムの脆弱点を発見して管理者に報告する、いわゆる所謂「良いハッカー」を育成することで、自国のサイバー・セキュリティーの強化に役立てる意図だ。

サイバー・セキュリティー産業は既に人手不足が深刻化している領域のひとつで、最新の「国際情報セキュリティー労働力調査」では、「2022年までに180万人のセキュリティー専門家が不足する」と推測されている。

つまり国家をあげて未来のホワイト・ハットを育成するという、必然性に迫られているわけだ。

デプコンの参加者の過半数が「r00tzアサイラム」目当て