「離婚」と聞くと、すぐ慰謝料を連想してしまう人も多いかもしれません。しかし実際には、必ずしも慰謝料が発生するわけではありません。むしろ金額が大きくなり、内容もややこしくなりがちなのが財産分与といわれています。

それぞれについて、基本的な考え方やルール、難しいポイントなどについて考えてみましょう。

(写真=zimmytws/Shutterstock.com) (写真=zimmytws/Shutterstock.com)

離婚、即「慰謝料」というわけではない

そもそも「慰謝料」とは、一方がもう片方に対して何らかの損害や苦痛を与えた場合に、それに対する損害賠償として支払うものです。つまり、離婚に限定して考えれば、浮気や家庭内暴力、精神的苦痛、あるいはパートナーとしての当然の務めを果たしていないなどの「加害・被害」の関係があって、初めて発生します。

当然ながら、お互いに納得して「これ以上パートナーとしてやっていくことはできない」と判断し円満に離婚したという場合など、慰謝料が発生しないケースもあり得るわけです。

ちなみに、この慰謝料には明確な基準というものはありません。一般に、ネット上の法律相談などで見られる相場についても、50万~400万円と開きがあります。

もちろんこれに関しては、払う側の経済的基盤や、相手に対して与えた損害や苦痛の度合いによって大きく差が出てきます。

対象によっては分け方が難しい財産分与

しかし離婚の際、より大きな問題になることが多いのが財産分与です。財産分与は、夫婦間の財産を適正に分割・精算することをいいます。結婚前からそれぞれが持っていた財産は関係ありませんが、結婚後、共同生活の期間に形成された財産は、名義に関係なく財産分与の対象となります。

たとえば、夫が会社勤めなどによる給与によって収入を担い、妻は専業主婦だったという場合でも、その夫の労働は妻の支えがあってこそのものです。そのため、結婚後に形成された財産は「夫婦が力を合わせた」結果とみなされます。「稼いでいるのは自分だから、この家の財産は全部自分のものだ」などという、亭主関白な理屈は通用しないわけです。

財産形成への貢献度により分割の割合に若干の差が出ることはあるものの、やはり2分の1ずつ分けるというのが、現在の基本的な考え方となっています。

分与の対象となる財産について具体的に考えてみると、その主な内容は家(土地建物)、結婚後の預貯金、保険や株式、自動車などということになります。一方、結婚後にそれぞれが相続で得た財産や、夫婦の片方だけが日常的に使っている私物は対象になりません。

預貯金等についてはそのまま分ければいいので考え方として楽ですが、問題は家です。通常、一軒の家を2つに割って分けるわけにはいきません。基本は、固定資産評価額を参考に売却額を算定し、それに基づいて分けることになります。実際に売却してそのお金を分けるか、あるいは一方が家を引き継ぎ、分与相当額を相手に支払うのが普通です。

しかしローンが残っていて、家の価値をローンが上回っているというケースもあり得ます。その場合は資産ではなく負債となるので、財産分与の対象とはなりません。しかし、ローンを組んだ名義人や保証人もそのままのため、場合によっては「もうその家には住まないのに支払義務だけ引き継いでいる」などというような状態になってしまうこともあります。

このような場合には、弁護士など専門家に依頼してなるべく将来にトラブルを残さないよう、分かりやすい形に整理することが重要です。

(提供: IFAオンライン

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