本記事は、前田 鎌利氏の著書『シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
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話し方の3つのNG①
話が長い

長い話は、聞いているのが苦痛になります。一文一文を短く、シンプルにしましょう。

中には話の一文が長くなってしまい、結局のところ何を伝えたいのか、よくわからなくなってしまうような人もいますので、注意しましょう。
一方的にプレゼンをし続けるのは、聞いている方が苦痛になります。一文一文が短いと相手の集中力を切らすことなくスムーズに内容を理解させることが可能です。
また、文が短くなることで話が止まり、間をとることで、相手が納得しているのか否定的なのかといった反応を確認することもできます。
プレゼンテーションは、コミュニケーションです。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
(画像=シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本)

プレゼンを一方的にしないコツ

プレゼンテーションで一方通行にならないようにするには、絶えず相手の反応を確認しながらプレゼンをすることです。
この話をもっと聞きたそうにしているのか、興味がなさそうなのか、表情や仕草などから推測していきます。
たとえば、もし聞き手が話を聞かずに資料を先読みしているなら、それは、一方的な伝え方になってしまっている可能性が高いでしょう。
相手が何に興味を示し、それに対して何を伝えれば良いかをその場で把握して伝える内容を選択できると、説得力は増していきます。
資料は、コンペや新サービス紹介などのインパクトを重視したプレゼンを除き、クライアントへ事前配付を行ない、内容を把握してもらった上でプレゼンに臨むのが望ましいです。
時間がないからといってその場で当日配付をすると、資料を見始めてしまい、話を聞いてくれなくなります。資料はあくまで事前に余裕を持って相手に配付しましょう。
もし、当日配付になってしまうようであれば、手元資料は配らず、タブレットやPC、プロジェクターなどを使ってアイコンタクトが取りやすいようなプレゼンで、相手の状況を把握しながら話していき、終了後に資料を配付することをおすすめします。その方が集中してプレゼンを聞いてもらうことができます。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
(画像=シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本)

話し方の3つのNG②
書いてあることを読み上げる

短い文章にして、スライドに書かれていないことを伝えましょう。

スライドが文章だらけで、その資料を読み上げられた瞬間、聞き手はあなたの話には一切耳を傾けなくなります。なぜなら書いてあることを黙読すれば理解できるからです。
人間は視覚情報と聴覚情報が同時に入ってくる場合、どちらか一方で事足りるのであればそちらに感覚が集中していきます。
話し言葉は、話し手の表情や間の取り方、声の強弱といった表現の抑揚がついていますので、書かれている言葉以上に聞き手の感情に訴え、相手の心に伝わりやすくなります。
逆に、情報だけを正確に伝えたいのであれば、文章だけを黙読する視覚情報のみで十分なのです。
理解をさせるだけなのか、感情を動かして意思決定まで導きたいのかによって表現手法は異なります。単に書かれた文章を読み上げるのは、ただのノイズでしかありません。
特に営業プレゼンでは、商品やサービスの説明をしっかりしなければと思うあまり、どうしても1枚のスライドに情報が詰め込まれがちになる傾向があります。
概要を伝えるものはなるべくシンプルにし、3分〜5分ほどで一通りプレゼンを行なった後で、詳細が書かれた資料をベースに補足の説明や質疑応答に応えるようにしましょう。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
(画像=シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本)

「書かれていないことを伝える」とは

大切なのは、スライドに「書かれていないこと」を、自分の言葉で伝えることです。それによって相手の心を動かし、信頼を勝ち取ることができます。
たとえば、提示した情報の背景やエピソード、そして提案に込めた念いは、話し手から直接聞くことでしか伝わりません。
プレゼンテーションは、相手の感情を動かして共感や信頼を得るためのツールです。相手の反応やリアクションを見ながら、こうした内容を、あなた自身の言葉で伝えることが大切です。
なお、画面に投影するプレゼン資料と、プレゼン後に相手に渡す配付資料は別物です。
この違いを意識してプレゼン資料を作成してください。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
(画像=シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本)

話し方の3つのNG③
フィラー

聞き手が一番不快に感じるのが、フィラーです。

フィラーとは、「あの〜」「えっと〜」「え〜」というような音をつい挟んでしまうことです。フィラーを挟んでしまうと、プレゼンが無駄に長くなってしまったり、中身があまり詰まってないような感じがして、最終的には自信のなさとも受け取られかねません。フィラーはなくしましょう。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
(画像=シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本)

フィラーをなくすには

フィラーはすぐになくせます。話し始める前に0.3秒だけ話すのを我慢しましょう。
慣れないうちは「間ができてしまうと怖い」という感覚があるかもしれません。ですが、むしろ音を発しない時間があるからこそ、そこまで話した内容を聞き手の脳が短時間で整理してくれます。
伝わるプレゼンにするためには、フィラーをなくし、間をとることが必要不可欠なのです。

シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
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シンプルだけど、人を動かす77のルール プレゼン力の基本
前田 鎌利(まえだ・かまり)
プレゼンテーションクリエイター/アーティスト/書家/株式会社固代表取締役/一般社団法人継未代表理事/一般社団法人プレゼンテーション協会代表理事。1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、17年にわたり通信業界(光通信、ジェイフォン、ボーダフォン、ソフトバンク)に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、初年度第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料作りも担当。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。2016年7月、株式会社固を設立。ソフトバンク、ベネッセ、ジャパネットホールディングス、松竹、Jリーグ、KDDI、日立システムズ、キヤノンなど年間200社を超える企業にて講演・研修を行なう。著書『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料の図解化大全』(以上、ダイヤモンド社)は累計50万部を超える(2025年4月時点)。

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