英国で「クラフトビール」、いわゆる「職人による手作りビール」の売上が市場の9%に達するなど、従来のビール会社を徐々に追い上げている。

AB InBev(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)やカールスバーグなど、いち早くクラフトビールの流行を察知した大手酒類メーカーは、独立系メーカーの買収に乗り出している。

大手メーカーによるクラフトビール市場侵略に懸念

クラフトビール,カールスバーグ,AB InBe
(写真=Thinkstock/GettyImages)

ここ数年、英国で一気に市場を拡大した感の強いクラフトビール。ファイナンシャル・タイムズ紙の報道によると、2016年には週に10軒の割合でクラフトビール醸造所がオープン。1970年台には140軒だったクラフトビール醸造所が、現在は1700軒にまで増えているという (UHYハッカー・ヤング調査)。

クラフトビールは大量生産のビールよりもはるかに高価だ。醸造所が小規模であるほど、市場での希少価値が高まる傾向が強い。

独立系醸造所組合、ソサエティ・オブ・インデペンデント・ブルワリ ーに所属するエド・マーソン氏は、クラフトビール市場の展望にさらなる期待をいだいている反面、「大手メーカーによる買収が活発化するのではないか」との懸念も示している。

AB InBevは2015年、当時英国でクラフトビール産業のリーダー的存在だったカムデン・タウン・ブルワリー を8500万ポンド で買収。クラフトビールファンから大いに批判を買った(ガーディアン紙より)。

今年に入ってからはカールスバーグが、設立者の脱税容疑で経営難に陥っていたロンドン・フィールズ・ブルワリーを400万ポンドで買収 している(イブニング・スタンダード紙より)。

米国市場でもクラフト・ビールが2割に成長

クラフトビール人気は英国だけにとどまらず、米国にも広がっている。米国のビール市場は、すでに20%をクラフトビールが占めている。

クラフトビール人気に火がついた理由として、「消費者の嗜好の変化」が挙げられている。かつて一般的な消費者に見られた「気に入ったブランドへの固執」が、「新しい味、新しい経験を試してみたい」という冒険心に移行しつつあるようだ(MEHEEN より)。
また「いつも同じブランドのビールを飲んでいる」など、固定したイメージを嫌う消費者が増えたことも一因かと思われる。

醸造所の向上心も著しく高まり、常に変化する消費者の需要に対応するために、伝統的な手法・商品だけに拘らず、常に新鮮な発想に取り組んでいるそうだ。

英国のクラフトビールには、アートや音楽と関連させたものも少なくない。そのせいか、ちょっとお洒落なバーやクラブで見かけることが増え、特に若者の間で盛り上がっている印象だ。

例えばカムデン・タウン・ブルワリーはつい最近、ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」の発売50周年を記念して、「ストロベリー・ヒルズ・フォーエヴァー」という楽曲のタイトルをもじったビールを発売している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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