プロレス人気がとまらない。

一時期はK-1や総合格闘技などのブームに押され、下火となっていたプロレスに観客が戻ってきている。なかでも、老舗プロレス団体である新日本プロレスは、2012年に株式会社ブシロードの傘下となってから人気が再燃、業績も好調だ。

さらに新日本プロレスの広報によれば、それまで全体の1割に満たなかった女性ファンが今では全体の4割近くにまで達しているという。

なぜ新日本プロレスは業績を伸ばし続けているのか? プロレスファンの女子、通称「プ女子」たちはなぜ新日本プロレスにハマるのか?

5年で新日本プロレスの売り上げが11億円から37億円へ

プロレス,格闘技,興行ビジネス
(画像=新日本プロレスリングWebサイトより)

プロレス冬の時代を経て、新日本プロレスの売り上げは2012年以来、右肩上がりを続けている。

ブシロードの木谷高明オーナーは、5年前の売り上げ11億円に対し、今年は37億円の売り上げを見込んでいるという。実に330%の業績アップだ。

プロレスの会場に足を運ぶ観客の数も、2012年に比べて確実に増えている。

地方の平日夜から開催される興行でも、毎回ほぼ満席・札止めを連発している。毎年8月の中旬に両国国技館で行われる、G1 CLIMAX(ジーワン・クライマックス)と呼ばれるビッグイベントでは、リングサイドの砂かぶり席のチケット代が1万円値上がりしたものの、6月の時点で完売するほどの売れ行きだ。

新日本プロレスの業績が右肩上りとなった要因は大きく二つある。

一つは、新日本プロレスの動画配信サービス「新日本プロレスワールド」の開始だ。2015年よりサービスを開始した「新日本プロレスワールド」は、現在約5万人の会員を擁し、日本のみならず世界中のプロレスファンがライブ配信や過去の名勝負映像などを視聴している。

「だれでもいつでもプロレスが観られる」という環境づくりをしたのは非常に大きい。これまでプロレスと言えば試合会場に足を運ぶか、プロレス専門誌などを読まない限りは情報が入ってこなかった。

動画で観られる環境が整った結果、スマホさえあればどこでもプロレスの試合を視聴でき、会場に行かなくてもTwitterなどのSNSで情報を共有できるからだ。

選手のメディア進出で女性の知名度がアップ

業績アップのもう一つの要因は、選手・団体の認知度アップだ。日本テレビ朝の情報番組「スッキリ!!」では、新日本プロレスの真壁刀義選手が“スイーツ真壁”として2016年3月までレギュラー出演しており、現在ではNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」に出演中だ。

同じく新日本プロレスの棚橋弘至選手もテレビのバラエティー番組への出演が多く、2016年にはベスト・ファーザー賞を受賞するなど活躍の場を広げている。

さらに、今年6月の女性誌『anan』(マガジンハウス)では「女子たちを夢中にさせる特集」として、新日本プロレスのイケメンレスラーが紹介され、同じく総合文芸誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)8月号でも「ありがとう、プロレス」と題して各プロレス団体の人気選手が紹介されている。

メディアへの露出が増えたことで、それまでプロレスに触れることのなかった層へプロレスが浸透しつつある。新日本プロレスの女性ファンがここ数年で増加していることも、このメディア戦略の成果によるものだろう。

女性ファンは自分が好きになった、いわゆる「推し」の選手を応援するために、会場に足を運び、関連グッズを購入しているのだから。

2020年までに東京ドームを満員にする

現在、新日本プロレスのみならず、全日本プロレスやNOAH(ノア)といった老舗メジャー団体から、DDT(ディー・ディー・ティー)プロレスリングやDRAGON GATE(ドラゴンゲート)といったインディー団体、さらには女子プロレスまで、プロレスの人気は再燃している。

新日本プロレスの木谷高明オーナーは、2020年までにプロレス界最大のイベント1.4(イッテンヨン)東京ドーム興行を満員にすると言う。実数にすると約4万5000人だ。

今年2017年のイッテンヨンは2万6192人、果たして2020年の東京ドームは満員になるのだろうか――。新日本プロレスとプロレス界の今後の動きから目が離せない。(ZUU online編集部)