ドイツ中央銀行が米国とフランスに保有していた金塊5万本、総額279億ドル相当のフランクフルトへの移動を完了させた。移動計画は2013年に発表され、20年の完了を予定していた。
ドイツ政府は移動の理由を「国民の信頼回復のため」としているものの、政治的・通貨的危険性を懸念しての動きだと推測されている。
所有する金塊の過半数を自国に移動
世界最大の金保有国の一つであるドイツは、米国と旧ソビエト連邦下で長期間にわたる冷戦が続く中、旧ソ連の侵入の懸念から国外の銀行に金塊を保管していた。
それ以来、ドイツの保有する金塊についての憶測 が絶えず世間を騒がせることとなる。中には「預けている金塊は密かに売却されている」との説もあった。
しかし13年に入り、ニューヨーク連邦準備銀行とフランス銀行から、674トンの金塊を20年までに自国に戻す計画に着手する。移動は予定よりも3年早く完了したことになる。
この国境を越えた金塊の大移動後、「フランクフルトには50%強、米国に36.6%、英国に12.8%を保管することになる」とCNBCは報じている。イングランド銀行が保管している金塊は、現時点では移動の対象となっていないようだ。