昔からある「ヒト・モノ・カネ」という言葉は、企業経営の三要素を示したものですが、なかでも現代では、企業が発展する原動力としてヒトの活用向上が注目されています。社員の一人ひとりの能力は大切ですが、社員がやる気とやりがいを持って働くことが生産性の向上に繋がりますから、組織で働くことの満足度を計り、高めることが今の経営者に求められていることかもしれません。

そこで、社員満足度を計るための指標にはどのようなものがあり、どのような点に注視すべきなのかを解説します。

評価の指標となる二つの要因

(写真=one photo/Shutterstock.com)
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社員満足に影響を与える要因にはいくつかありますが、大きく分けると「動機づけ要因」と「衛生要因」の二つに分けられます。

これら「動機づけ要因」と「衛生要因」は、職務満足の研究で知られるフレデリック・ハースバーグが「動機づけ衛生理論」のなかで明らかにしており、「仕事へ動機づける」および「仕事上の不満を回避・防止することを動機づける」というものです。

この理論の元になった、技術者と会計士を合わせた約200名の従業員への聞き取り調査で、仕事に満足している人は「仕事上の自分の成功例や経験」など仕事内容にかかわる回答が多く、これが仕事へ動機づける要因であるとしています。

逆に仕事に満足していない人の多くは、仕事内容よりも自分を取り巻く職場の環境や状況に関して回答しています。例えば職場における劣悪な環境や状況などがそうで、「仕事上の不満を取り除くことで、従業員の満足を維持できる」もの。これが衛生要因とされています。

満足度を高める要因

動機づけ要因は満足度を強化する要因のことで、充足すればするほど満足度を高める要因です。

まず一番に、仕事のやりがい・適正、仕事そのものの量や質などが挙げられます。仕事のやりがいが高いほど満足度も高くなります。適正もしかり。配置転換などで営業から事務へ、またはその逆などという大胆な転換も実際にはありますが、社員の適正に合っているほど満足度は高くなります。

その他、公平で透明性があり自分の評価に納得がいくこと、与えられるポストなど処遇に納得性を持てること、上司からの人材育成支援や社内研修などで仕事を通じて自己の成長を実感できたり、さらに成長していく自分の将来像を想像できることなども満足度を高める要因です。

不満足度を高める要因

一方の衛生要因は会社に対する不満足度を強化する要因で、自分を取り巻く職場の環境や状況が影響します。報酬基準や労働条件などはその代表的な要因です。例えば、報酬の水準が同業他社に比べて低い場合や、昇給基準が明確でない場合、また、残業が多い、休暇が取りにくいなどの労働条件からも会社への不満が募りやすくなります。

自社の福利厚生制度が世間に比べて大きく見劣りする、経営方針・ビジョンが社員に明示されていない、上司と部下の間に壁を感じるような対人関係、企業風土なども不満足度を高める要因です。

これら不満足度を高める要因は回避したいものですが、回避したからといって必ず満足度の向上につながる、というものではありません。

例えば、世間一般と比べて自社の福利厚生制度が素晴らしくても、仕事のやりがいになるかといえばそうではありません。しかしながら社員満足度が低い場合、これらの項目に問題があることが考えられますから、仕事上の不満を回避・防止するために注視しなければいけません。

評価指標によって社員満足度を把握する

社員満足度を計るための指標に「満足指数」があります。社員満足度の調査方法として実施されることが多いのが、動機づけ要因と衛生要因の各項目に関する質問形式の社員へのアンケートによる方法です。これらの質問に対する満足度回答で、「大いにそう思う」「ある程度そう思う」などのポジティブな回答の割合が満足指数です。

満足指数は60%以上であることが、社員満足度の一つの目安です。社員満足度の調査では組織全体、および、性別、年齢階層、職階、部門、職種といった属性ごとに満足度の水準を知ることもできますが、全体の満足指数が会社の社員満足度になります。

満足度指数の結果や内容に応じ、改善すべき問題点の把握も同時にできるでしょう。社員満足度の向上をはかり、高めるための働きがいのある職場づくりを目指してください。

(提供: フクリ!

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