Altキーを使いこなせばマウスは不要!

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(写真=The 21 online)

デスクワークの大半を占めるパソコンでの作業。少しでも効率化するために有効な方法がショートカットキーの活用だが、意外にも活用している人は少ない。外資系プロジェクト・マネジャーでシステム開発のプロである木部智之氏に基本のショートカットキーをはじめ、パソコンでの仕事を効率化する方法についてうかがった。《取材・構成=林加愛》

仕事が速い人はマウスを使わない!

同じ仕事をするにしても、少しでも楽にできる方法を見つけたほうが効率は上がります。とくにパソコン作業はデスクワークのほとんどを占めるものです。にもかかわらず、時短ワザを使っている人は意外なほど少ないように感じています。

その代表格がショートカットキー。キーボードから手を放してマウスを使う、という中断によって毎回数秒のロスが発生します。これが積もり積もることで、仕事の速い人と遅い人の間の差がついていくのです。

「Ctrl+S=保存」などの「有名どころ」はさすがに多くの人が利用しているでしょうが、それ以外にも便利なキーが多数あります。

ただし、すべて丸覚えする必要はありません。使う機能は仕事内容によって千差万別ですから、自分が頻繁に行なう操作、もっと簡略に行ないたい操作だけをピックアップし、そのつど覚えるのが賢い方法です。それには、ネット検索が早道。検索すれば、すぐに目当ての情報が見つかります。次ページにも代表的なショートカットキーについてご紹介しましたので、参考にしてみてください。

社内メールを簡素化するルール作りを

メールのやりとりにも、多くのムダが隠れています。たとえば、社内メールの挨拶文。「○○さん、お疲れ様です」と書く数秒間を省くため、私は上司へのメールも含め、一行目から用件で始めるようにしています。

ただし、この方法は「失礼になるのでは」とためらう人もいるでしょうから、社内やチームで「宛名と挨拶は省略して良い」などとルール化しておくのがお勧めです。

受信メールを「一度しか読まない」ことも心がけています。いったん見て「後で対応しよう」と思って閉じると、読む時間が二倍に。読んだら即対応、その後は削除するか別フォルダへ。受信トレイが未対応メールのみになれば、これがTODOリスト代わりになり、タスクの見落としも防げて一石二鳥です。

意外と知らない?基本のショートカットキー6

(1)デスクトップを表示するとき

[Win+D]
デスクトップを見たいとき、その時点で開いているウインドウを一つ一つ閉じていくのは面倒なもの。Ctrlキーの隣にある旗のマーク=WindowsキーとDを押せば、一瞬ですべての窓が閉じ、デスクトップが表示される。

(2)ロックをかけたいとき

[Win+L]
情報のセキュリティが重要視される昨今、離籍中の画面ロックを義務づけるオフィスも少なくない。これも、旗マークとLを同時に押せばすぐにロックがかかる。席に戻った後は、起動時と同じパスワードで解除できる。

(3)ソフトを切り替えたいとき

Win+Tab または Alt+Tab
エクセルやワードなど、複数のソフトを同時に立ち上げているとき、このショートカットです画面を切り替えられる。これらのうち一つのソフトを終了するには「Ctrl+F4」、全部終了するには「Alt+F4」を入れればOK。

(4)キャンセルしたいとき

Esc
操作中によく出てくる、確認用のポップアップ。窓に「OK」か「キャンセル」のボタンが表示されるが、ここでマウスを動かして「キャンセルをクリック」するのは時間のムダ。「Esc」を押せば一瞬でキャンセルできる。

(5)ページ移動をしたいとき

Alt+十字ボタン
ブラウザ閲覧中、記事の途中で「次ページ」などの表示が出てきたときは、Altキーと左右上下の矢印キー=「十字ボタン」を押すだけでOK。「→」なら次ページ、「←」なら前ページに移動できる。

(6)ページ先頭or末尾に移動したいとき

Home または End
長い記事をざっと一覧している際、スクロールバーで移動するのは面倒。そんなときは「Home」キーで先頭、「End」キーで末尾に移動できる。ちなみに「Alt+Home」を押せば、ブラウザのHPに飛べる。

スピードアップの応用編3

基本の6つを使いこなせるようになったら覚えたい、カーソル移動を超速モードにするショートカットキーをご紹介。

(1)行を瞬間移動する

Home または End
「基本の6つ」にも入っているこの2つのキーは、ワードで資料作成しているときなどにも使える。行の後ろのほうにカーソルがある場合に「Home」を押すと行の先頭に、「End」で末尾に一瞬で移動する。

(2)ページを瞬間移動する

PageUp(PgUp) または PageDown(PgDn)
ワード、エクセル、ブラウザなどで、数ページ分を移動したいときに使う。次のページや前のページへ、ページ単位で移動する。

(3)組み合わせでさらに高速化

(1)(2)とShift Ctrlを組み合わせる
Shirt+Homeで、カーソルがある位置から行の先頭の文字まで一気に選択できる。同様に、Shift+Endならば行末まで、Shift+Ctrl+Endで文末までを選択。エクセルならCtrl+PgUp/PgDnでタブを切り替えられる機能が便利。

「Altキー」は万能キー

ショートカットキーでカバーしきれない操作に関しては、知られざる便利キー「Alt」をとことん活用しよう。

ワードやエクセルなどのソフトを開いた状態で「Alt」を押すと、上部のメニューにびっしりと数字かアルファベットが表示されるはず。ワードの場合、たとえば「保存」のところには1、「ファイル」にはF、「挿入」にはN、と文字が割り振られる。あとはこの表示通りにキーを押すだけでその作業ができる。

こうすれば、上記のショートカットキーと違い、覚えておかなくても、表示に従えばその通りに進むのが嬉しいところだ。もちろん、慣れてきて頭に入ればさらに便利。マウスなら数秒を要する「レイアウト→セクション区切り→段組み」なども一瞬のキータッチで完了する。

木部智之(きべ・ともゆき)日本IBM〔株〕シニア・プロジェクト・マネジャー
1976年、神奈川県生まれ。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年、日本IBMにシステムエンジニアとして入社。3年目でプロジェクト・マネジャーとなる。09年に役員のスタッフ職を経験、10年より大規模システム開発プロジェクトを統括、日本と大連で数百人のチームを率いる。著書に、『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)など。(『 The 21 online 』2017年8月号より)

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