日本の株式市場が力強い動きになっています。日経平均株価は10/13(金)まで9営業日続伸となり、終値は1996/11/29以来の21,000円台を回復しました。欧米等で株価が過去最高値圏での推移になっていることや、為替相場が安定していることに加え、日本企業の業績が好調なことも追い風になっているとみられます。

そうした中、前回(10/6付)の「日本株投資戦略」では、時価総額1,000億円以上の銘柄を対象に、中間決算発表前後に業績予想が上方修正される、または会社計画を上回る決算を発表し、株価上昇が期待できる銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。好業績が期待される銘柄は当面、株式市場のけん引役になると考えられます。

今回の「日本株投資戦略」では、時価総額1,000億円未満の銘柄を対象に、業績予想の上方修正も期待できるような好業績銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

好業績期待の中小型銘柄を探る

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(写真=PIXTA)

それではさっそく、決算発表前後に業績予想が上方修正される、または会社計画を上回る決算を発表し、株価上昇が期待できる銘柄をスクリーニングしてみたいと思います。前回の「日本株投資戦略」では時価総額1,000億円以上の銘柄を「主力銘柄」と位置付け、分析対象にしました。今回は時価総額1,000億円未満の上場銘柄を「中小型株」と位置付け、分析対象にしてみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)時価総額1,000億円未満の東証上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄(実績ベース)であること
(3)金融以外の銘柄であること
(4)2人以上のアナリストが業績予想を公表している銘柄であること
(5)第1四半期(2017年4~6月期)の営業増益率(A)が今期(2018年3月期)の会社予想増益率(B)を上回っていること
(6)今期(2018年3月期)の営業増益率(C:市場コンセンサス)が増益予想であること
(7)今期予想EPS(Bloombergコンセンサス)が過去4週間に増加している銘柄であること
(8)来期(2019年3月期)の営業増益率(D:市場コンセンサス)が10%以上の増益予想であること

(1)から(8)までのすべての条件を満たしている銘柄を、今期予想営業増益率(C:市場コンセンサス)が大きい順に並べたものが表1となります。

例えば、日本シイエムケイ <6958> の場合、1Q(2017年4~6月期)の営業利益は前年同期比で229.1%の営業増益でしたが、これは今期(2018年3月期)の会社予想営業増益率(50.8%)を上回るペースであり、最終的には会社予想を上回る着地が期待されます。今期の市場予想営業増益率は前期比80.1%増であり、アナリストの期待も強いと考えられます。来期(2019年3月期)の市場予想営業増益率は今期市場予想比36.1%増で、業績は今期でピークになるとは予想されていないことから、市場の期待が継続しやすいと考えられます。

好業績が期待される中小型銘柄(時価総額1,000億円未満)

掲載銘柄の投資ポイント

ここでは表1に掲載した銘柄の一部について、投資ポイントや注意点をご紹介します。

図1:日本シイエムケイ(6958)・日足チャート
図1:日本シイエムケイ(6958)・日足チャート

日本シイエムケイ <6958>はプリント配線板の専業メーカーです。用途別では車載向けが約7割(前期)と主力で、新車販売の世界的増加やPHV、HVの普及、先進運転システム市場の拡大等が成長要因とみられます。国内売上高が約6割、海外売上高が約4割(中国、東南アジア他)となっています。

業績は前項でご説明したように好調。株価は図1にみられるように、右肩上がりの形状になっています。

IDEC <6652>はスイッチ、表示灯を中心に各種制御機器を生産しています。仏社の買収もあって海外売上高が拡大し、地域別売上高(1Q)は国内45.6%(前年同期は61.6%)、海外54.4%(同38.4%)と、海外が中心に変っています。

スーパーマーケットのセミセルフレジにおけるバーコードリーダーや宅配ボックスのタッチパネルなど、当社の製品は身近な所でも使われ、隠れた人手不足関連銘柄と言えそうです。

好調な1Q決算(7/28発表)を受け、会社側は通期の業績見通しを上方修正し、営業利益は50億円から56.5億円に修正されています。ただ、市場が予想する営業利益は今期59億円、来期65億円となっています。株価は昨年末1,092円に対し、現状は2倍超の値上がり率になっていますが、市場予想ベースの来期予想PERは16倍台にとどまっており、割高感はそれ程強くないようです。

図2:イワキポンプ(6237)・日足チャート
図2:イワキポンプ(6237)・日足チャート

イワキポンプ <6237>はケミカルポンプなど流体制御機器のリーディング・カンパニーです。「ポンプのイワキ」と称される程、豊富な製品バリュエーションを抱えていることが強みであると考えられます。

1Qは売上高が前年同期比8.6%増、営業利益が同46.6%増と好調。韓国の半導体市場向けポンプ等が好調で、アジア向け売上高が伸長しました。今期の営業利益は会社予想16.7億円(前期比14.1%増)に対し、市場では18.8億円(同28.5%増)を予想しています。

なお、同社の社名は「株式会社イワキ」です。医薬品商社で上場企業である「イワキ株式会社」 <8095>と混同しやすいため、銘柄名を「イワキポンプ」としています。混同にはご注意ください。

図3:レオン自動機(6272)・日足チャート
図3:レオン自動機(6272)・日足チャート

レオン自動機 <6272>は食品成形機の大手メーカーです。人手不足対応を背景に堅調な業績が期待されます。

9/20に業績予想を上方修正し、今期の会社予想営業利益は28.1億円から35.6億円に修正されています。ただし、市場予想営業利益は今期が37.25億円(前期比16.1%増)、来期が42.25億円(13.4%増)となっています。また、市場コンセンサスベースの来期予想PERは15倍弱となっています。

図4:クイック(4318)・日足チャート 図1~図4は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成 図4:クイック(4318)・日足チャート
図1~図4は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成

クイック <4318>は求人広告の企画・制作、人材紹介を行っています。人手不足を背景に業績は順調に拡大しているようです。

今期の会社予想営業利益は前期比8.6%増。これに対し、市場では今期15.9%増、来期11.5%増の営業増益を予想しています。これを受け、株価は上場来高値更新が続く展開になっています。

9/19に「保育に関わる人、すべてを応援!」と題し、大阪の保育士求人情報を提供するサイトの立ち上げを発表しています。安倍政権では教育に予算を重点配分する動きが強まっており、「国策」への対応が進んでいる一例とみられます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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