本記事は、新井 和宏氏の著書『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
「儲かる」という言葉に人はなぜ弱いのか
詐欺は「知識不足」より「心理の穴」を狙ってくる
投資は資産を増やすための行為です。
ですが、その目的が強く意識されるほど、「早く増やしたい」という感情が前に出てしまいます。
投資の世界では、数字よりも「人の心」が動くときに、もっとも大きな判断ミスが起きます。
「損をしたくない」という防衛の気持ちと、「もっと儲けたい」という欲の気持ち。
この2つは相反するようでいて、どちらも人を冷静さから遠ざけます。
「儲かる」という言葉を聞くと、私たちは「今動かないと損をする」「他の人だけが得をしてしまう」という気持ちに駆られ、「早く乗らなければ」という感情が先に立ちます。
逆に、「今のままでは損をします」と言われると、不安を解消したい一心で判断が早まります。「どんな仕組みなのか」「本当に安全なのか」を確認する前に、安心したい一心で話を鵜呑みにする。詐欺や怪しい商品がなくならないのは、この心理を巧みに利用しているからです。
金融の世界では「手数料無料」という言葉が強力な誘い文句として使われます。
債券取引などでは「手数料はかかりません」と説明されることがありますが、実際にはその分のコストが価格に含まれている。一見、得に見えても、「無料」や「特別」といった言葉の裏には、見えないコストやリスクが潜んでいる場合があります。
「儲けたい」という気持ち自体は悪いことではありません。問題は、その気持ちが強くなると、自分にとって都合のいい情報だけを信じやすくなることです。
「うまくいくはずだ」「今回は特別だ」と思い込み、リスクや注意点には目が向かなくなる。期待が大きいほど、警戒心は弱まり、判断が甘くなっていきます。
詐欺は4パターンで説明できる
私は、騙す・騙される構造を、次の4つに分けて考えています。
①故意に騙す─ 最初から陥れる意図がある。
最初から相手を陥れるつもりで仕掛けられた悪質な詐欺です。
「元本保証で年利10%」「必ず儲かる」といった言葉で資金を集め、最終的に持ち逃げするような手口です。相手の「儲けたい」「損をしたくない」という感情を利用しています。
②過失(無知)で騙す─ 悪意はないが誤情報を拡散する。
悪意はなくても、知識不足のまま誤った情報を広めてしまうケースです。
仕組みを理解しないまま「これが正しい」と信じて伝えてしまう人がいます。
SNSや口コミで広がる「簡単に増やせる」「みんなやっている」という情報の多くは、こうした無自覚な誤りから生まれています。
③説得して騙す─ 知識や立場で心理的に追い込む。
知識や立場の差を利用し、心理的に追い込むケースです。
専門用語を並べて優位に立ち、「あなたのため」と言いながら不利な契約を結ばせる。情報格差を武器にした詐欺ともいえるでしょう。たとえば、経験の浅い起業家が、交渉の場で専門用語に押され、強引な条件を受け入れてしまう場面などです。
④宣伝・勧誘で騙す─「今だけ」「あなただけ」で焦らせる。
広告やセールストークを通じて、人の心理を操作するケースです。
「今だけ」「あなただけ」「みんなやっています」といった言葉で判断を急がせる。焦らせることで冷静な思考を奪い、選択を誤らせるのがこの手口の特徴です。
4つのパターンを見ていくと、いずれも人の感情の揺れにつけ込んでいることがわかります。「もっと増やしたい」「損を避けたい」「不安から逃れたい」といった心の隙があると、正常な判断が鈍り、誤った選択に引き寄せられやすくなります。
なぜ騙されてしまうのか。心の動きを知ることは、数字の知識を学ぶのと同じくらい、投資において大切な学びになります。
感情への理解は、結果的に自分を守ることにつながります。
アクションリスト
・「必ず儲かる」「今だけ」と言われても、その場で決めない
・お金を出す前に、仕組みと損をする可能性をAIなどを利用して自分で確認する
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