本記事は、新井 和宏氏の著書『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
儲け以外の「密かな楽しみ」を持て
投資がうまくいく人が知っている「4つの醍醐味」
資産を増やすことは、投資の大きな目的です。しかし投資の醍醐味は、「お金が増えること」だけではありません。見方がひとつ増えるだけで、投資との向き合い方が変わり、長く続けられる理由が増えていきます。
個別株の場合は特に、投資には、お金の増減を含む「4つの醍醐味」があります。
「お金が増える喜び」だけでなく、「つながる」「応援する」「距離が近づく」といった体験を通して、投資の本当の面白さが見えてきます。
①お金が増える醍醐味…… 生活の安心が生まれ、選べる未来が広がる。
投資の入口は、多くの場合、「お金を増やしたい」という気持ちです。資産が育つことで生活の不安が和らぎ、心に余裕が生まれます。
生活にゆとりが生まれ、「仕方なく働く」から、「やりたい仕事を選ぶ」へと変わっていく。その変化を実感できたとき、投資の面白さが見えてきます。
お金を増やすことは、自分や家族の未来の選択肢を増やすことです。たとえば、好きな仕事を選べる、家族と過ごす時間を増やせる、将来への不安が少し軽くなる。その自由度が、「投資をしてよかった」という前向きさにつながっていきます。
この喜びは、派手な高揚よりも「焦りが減る」という形で効いてきます。急な出費や予定外の出来事に出会ったとき、以前ほど心がざわつかない。そうした静かな安心が、投資を続ける土台になります。
②つながる醍醐味…… 社会の中で自分のお金が役立っていることを実感できる。
投資をしていると、これまで自分が関わっていなかった世界とつながることができます。たとえば、投資先の会社がつくっている商品を、いつものコンビニで何気なく手に取ったとき。レジに並びながらふと銘柄を思い出して、「あ、これをつくっている会社に自分は投資していたんだ」と気づく瞬間があります。
それまでは株価やニュースの中の存在だった会社が、急に「自分の身近にある会社」に変わる。自分のお金が、工場の人や物流の人、売り場の人の仕事を通って、目の前の1本の商品になっている。そう思ったとき、投資はぐっと身近なものになります。
「投資」の世界は、冷たい数字の世界ではなく、実際は人の思いが詰まった世界です。
お金を通して、人や社会と関わる。それが、投資の2つ目の醍醐味です。
いったんつながりが見えると、日常のニュースの見方も変わります。値上げや品薄といった話題を見ても、「現場では何が起きているのだろう」と考えるようになる。
出来事が自分と無関係な情報ではなく、社会の動きとして浮かび上がってきます。
③応援する醍醐味…… 投資額にとらわれず、人を支える喜びを感じられる。
投資対象を「応援したい存在」として見ると、リターンの意味が変わります。
普通なら相場が下がると、不安になって投資を控えたくなります。しかし、応援する気持ちがあると、スタンスが変わります。
「今は応援のしどきだ」「この会社の成長を信じて支えよう」と思えるようになり、「信じ、見守り、支える」という能動的な関わりへと意識が変わります。
「投資家」であると同時に、「ともに未来をつくる仲間」として関われたとき、人は自然と誇らしい気持ちになります。
相手の思いや挑戦を知って、その成長を見守ることも投資の喜びです。「自分の応援が誰かの力になっている」と実感できること。それが、投資の3つ目の醍醐味です。
株価が動かない日でも、事業の進捗が見えると「今日は前に進んだ」と思えることがあります。損益だけで気分が上下しない支えができると、投資は心が削られる行為ではなくなっていきます。
④距離が近くなる醍醐味…… 企業と信頼を築き、一緒に成長していける。
最近は、SNSや株主向け説明会(株主総会)、地域ファンド、株式投資型クラウドファンディングなどを通じて、投資家と企業の距離がぐっと近づいています。
かつて投資先の企業は遠い存在でしたが、今は自分の価値観と合致する企業と出合い、その活動をより身近に感じられるようになりました。
たとえば、応援している企業の代表がSNSで発信していたり、地域の会社が株主向けのイベントを開いていたり。画面やイベントを通して、企業が「顔の見える相手」として感じられるようになります。
距離が近づくと、数字より先に「この会社は誠実に語るか」「難しい話から逃げないか」が気になるようになります。良い話だけでなく、課題やリスクも同じ熱量で説明できる会社は、それだけで信頼が積み上がります。
数字だけ追う投資がもたらすのは「息切れ」
上場企業の株式や投資信託のように誰でも参加できる投資でも、SNSや説明会を通じて、企業の考え方や現場の声に触れやすくなりました。
一方で、ベンチャー企業や地域の小さな会社に出資するような投資では、少し違った関係が築かれます。「誰でも株主になれる」のではなく、信頼関係にもとづく「選ばれる株主」という関係が生まれるのです。
小さな企業ほど、一人ひとりの出資が経営に与える影響は大きく、とくにベンチャー投資では、自分もその企業の一員として動いているような当事者意識が芽生えます。
経営者と一緒に悩み、喜び、企業の成長を間近で感じる。ときには自分の経験を生かしてアドバイスをしたり、人を紹介したりする。お金を出すだけではなく、一緒に企業を育てていく感覚があります。
ベンチャー投資は、上場企業への投資と違い、元本がゼロになるリスクが高いため「怖い」と感じられるのは当然です。ですが、もし「自分の代わりに社会の課題に挑んでくれてありがとう」と思えるなら、たとえゼロになったとしても、価値を見出せるのではないでしょうか。
たとえば防災の現場では、地震や豪雨のとき「今、どこで何が起きているのか」を一刻も早くつかむことが、その後の被害を左右します。株式会社Specteeの「Spectee Pro」は、SNS投稿や各種データをAIで解析して災害・危機情報をリアルタイムに可視化し、自治体や報道機関、企業のBCPなどでの活用実績を公表しています。
こうした仕組みがあることで、情報収集に追われる時間が減り、避難所運営や被害確認、支援の判断といった「人にしかできない仕事」に集中しやすくなる。投資は、そういう「初動を早める挑戦」を支えることにもなります。
もし仮に事業としてはうまくいかず、投資したお金が戻らなかったとしても、現場の判断が早まり、誰かの安全につながった経験や仕組みが残るなら、「ゼロ= 何も残らない」とは言い切れません。
もちろん、子どもの教育資金を貯めたい、老後の生活を安定させたいという場合、どうしても結果が優先されます。とはいえ「確実に儲かる方法」がない以上、蓋を開けてみれば結果が違うこともあります。
社会的な意義や心の満足がまったくないままリターンがマイナスだったら、残るのは不満だけです。「お金の満足度」だけでなく「心の満足度」も踏まえて判断しないと、投資の醍醐味を見失ってしまいます。
投資は「数字の世界」だけでなく、「人との関わりの世界」でもあります。人が何を考え、どう行動するのか。その視点を抜きには語れません。
アクションリスト
・投資している会社やファンドの商品・サービスを、ふだんの生活の中で意識して見てみる
・値動きだけで判断せず、その会社が発信している情報や事業の進み具合を定期的に確かめる
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